4. 中国経済
米国は、中国が関税を掛ける農産物に補助金を出すという。中国は米国の関税に対して、輸出品目が多いので人民元を安くして対応するが、そのために中国企業のドル債務返済が難しくなる。
人民元安ドル高という状況下、中国経済は大変なことになるかもしれない。ドル建ての貿易量は増えているが、今年の上半期の経常収支は300億ドルの赤字になり、資金繰りがつかない会社が多数、存在しているようだ。事実、中国企業がNECの半導体会社を買収するはずが、資金繰りがつかず断念している。
このままだと、中国は「米中貿易戦争」の敗者になる可能性が高いが、「中国製造2025」を撤回できないので、中国は米国への対抗処置を取らないだけの可能性も出てきた。しかし、米国製品の不買運動は、中国国民の中で出てくることになる。
5. 中国の強国論が早すぎた
トウ小平は、「爪を隠して、身をかがめて米国に追従し、実力が出たら、その時に中国は出るべき」と言っていた。習近平は国内での権力を強固にするために、中国の強大化と覇権を取ることを目指して、「一帯一路」と次に「中国製造2025」を提唱して、米国に戦いを挑んで覇権を取りに来た。
しかし、結果的には早すぎたようである。このままでは、米国が中国経済を潰し、中国経済はメチャクチャにされてしまう。もう一度、トウ小平の教えに戻るべきであるが、それが習近平国家主席にはできない。
とすると、中国国内でリーダー交代が起きる可能性も出てくる。団派が太子党から権力を奪い返す可能性である。そして、もう一度、米国との関係を元に戻し、米国をはじめ世界各国と公平で互恵的経済関係を中国が構築することである。
それには知財権を侵害するような商品を作る企業を撲滅するために、社長以下重役たちを重罪にするほどの強い政策が必要である。また、中国政府は、軍事秘密情報を盗むためのハッカー攻撃を止めることである。先端技術でも政府の補助金などを出さないで、公平な競争条件を確保することが必要になる。
そうしないと、米国は中国経済を潰すまで、貿易戦争の戦いを止めない。
米中貿易戦争を日本は見ているだけであるが、中国経済破壊の影響は大きい。中国の指導者が変わった段階で、日本は米中の仲介をするべきである。
さあ、どうなりますか?
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