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61歳で退職は損?もう少し働くと大幅に年金額がUPする場合がある

「もう十分働いたから、そろそろ引退したいなあ」定年間近の60歳以上になったら、そんなふうに退職したいと考えている方も多いかと思いますが、それに待ったをかけるのは、無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』の著者・hirokiさん。実は、61歳になってからあと少しだけ働けば「65歳前に貰える年金が大幅アップする場合」があるそうですよ。

65歳前の年金が大幅アップするから、その退職ちょっと待った!!

この間の記事「どうすれば、年金を貰いながら60歳以降も働くことができるのか」に関連する内容ではありますが、今日はですね…もう長~いこと働いてきたんだし、もう引退したい! っていう人向けです。

60歳過ぎても若々しい人は本当にイキイキされてる方も多い時代ですが、もう十分働いてきたんだし引退したい~! っていう方もいますよね。でも早まらないでください! もうちょっと働いたら、年金のご褒美が貰えるかもしれないですよ^^

というわけで、もう引退したいんだけどもし引退してしまったらそれは勿体ない! っていう事例です。

1.昭和33年2月6日生まれの男性(今は60歳)

何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!(参考記事)

高校を卒業する18歳年度末の翌月である、昭和51年4月から民間企業に就職して60歳になる平成30年2月5日をもって定年退職したがそのまま継続雇用をすることになって現在も厚生年金に加入中。この60歳時点までの厚生年金期間は502ヶ月。一応継続雇用を希望はしたが、さすがにここまで働いてきたし退職金は定年退職時に貰ったし引退したかった。もう、61歳くらいで引退したかった。61歳で引退する(平成31年1月までの厚生年金期間)となると厚生年金期間は514ヶ月になる。

ちなみにそれで、63歳(新年号3年にあたる平成33年2月に受給権発生)から支給される老齢厚生年金額を計算してみる。なお、昭和51年4月から平成15年3月までの324ヶ月の期間の給与平均(平均標準報酬月額)を37万円とします。平成15年4月から平成31年1月までの190ヶ月の期間の給与と賞与の合計額の平均(平均標準報酬額)は52万円とします。これで63歳から貰える老齢厚生年金を計算する。

・63歳からの老齢厚生年金(報酬比例部分のみ)→37万円÷1,000×7.125×324ヶ月+52万円÷1,000×5.481×190ヶ月=854,145円+541,523円=1,395,668円(月額116,305円)

となる。この金額が65歳まで続く。

しかし、61歳までじゃなくてもう少し働いてもらうと大幅に年金額がアップする。せめて厚生年金期間528ヶ月になる時まで働くとすごい事になる。平成31年1月時点で514ヶ月だから、あと14ヶ月多めに働くという事ですね。だから、平成32年(新年号2年)3月まで厚生年金期間が含まれるまで働く。

退職日としては平成32年(新年号2年)3月31日に退職する所まで持っていけばいいです(翌日の4月1日に厚生年金資格を喪失するから3月分まで厚生年金期間を含む。うっかり3月31日に退職すると2月までの期間になってしまう)。なお、この時まで働いた平均標準報酬額は同じく52万円としときます。

すると何が起こるのか。63歳(新年号3年にあたる平成33年2月に受給権発生で実際の年金の発生は3月分から)からの年金総額を見てみましょう。

・老齢厚生年金(報酬比例部分)→37万円÷1,000×7.125×324ヶ月+52万円÷1,000×5.481×204ヶ月=854,145円+581,424円=1,435,569円

まあ、さっきより少し増えましたね。でももっと増える

・老齢厚生年金(定額部分)→1,625円(平成30年度定額単価)×480ヶ月(上限月数)=78万円

よって、老齢厚生年金額が報酬比例部分1,435,569円+定額部分78万円=2,215,569円(月額184,630円)まで増えちゃうわけですね。

この定額部分というのはもう昭和60年改正の時に廃止された年金であり、この男性の生年月日だと本来は付くことは無い年金ですが528ヶ月以上の厚生年金期間があるとオマケで付いてくる

あと、この63歳時点で65歳未満の生計維持している配偶者が居ると更に配偶者加給年金389,800円が付くからこの配偶者加給年金を付けると年金総額は2,605,369円(月額217,114円)になる。本来なら、65歳にならないと付かない配偶者加給年金が定額部分という年金が発生したことで前倒しで貰えちゃうんですね。

そんなにお得なら、この際65歳まで働いちゃおう! とやる気が出たかもしれませんがちょっと待って(笑)。このオマケで定額部分や配偶者加給年金が付くのはあくまでもう退職(厚生年金には加入しない)場合に付くものなので、もし63歳以降も厚生年金に加入するならそのオマケの年金は付きません^^;。

せっかく定額部分と加給年金がオマケで貰える条件を満たしても、厚生年金に加入するなら全額停止という事になります。ものすごく長く働いてきた人へのご褒美みたいなものですから、引退せずにまだ働くっていうなら大幅アップした年金は支給しませんよという事です(笑)。なんだかね、ややこしい条件ではありますがその点はお気を付けくださいね^^。

あとですね、この男性は大幅年金アップにはなりましたが、65歳未満の人で108万円以上の年金を貰う場合は税金がかかってきます。一応どのくらいの所得税が年金から源泉徴収されるかをザックリ把握しておきましょう。

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※ 注意

以下は、毎年10月下旬(近年はマイナンバーとかの関係で8月送付でしたが今年もそうなんだろうか)くらいに送られてくる扶養親族等申告書をちゃんと期限までに提出した場合で算出してます。

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まず70歳未満の控除対象配偶者が居るものとします。障害は夫婦ともに無し。年金総額は2,605,369円ですが、偶数月に前2ヶ月分を支払うから2ヶ月分だと434,228円(年額を6回で割った額)とします。この条件で毎回支払月である偶数月に源泉徴収される所得税の金額を算出します。

・まず基礎控除→434,228円×25%+13万円=238,557円(←2ヶ月分に直してます)

配偶者控除は月32,500円だから2ヶ月分に直すと、65,000円。よって、2ヶ月分の年金434,228円-基礎控除238,557円-配偶者控除65,000円=130,671円。

・偶数月に支払われる年金額から源泉徴収される所得税→130,671円×5.105%=6,670円

だから実際の年金振込額は

・434,228円-源泉徴収額6,670円=427,558円

なお、他に使える所得控除(社会保険料控除とか、医療費控除、生命保険料控除とか雑損控除みたいなもの)がある人は、源泉徴収された年の翌年1月1日から5年以内に還付申告をすることで徴収された税金の還付を受ける事ができる場合がある

ただし、公的年金の源泉徴収票は1月下旬に送られてくるのでそれが届いてから、還付申告に行きましょう~。

※ 追記

528ヶ月以上厚生年金期間があれば、今回の記事のように物凄く年金額が増額したりします。ただ、もう一度申し上げますがその増えた年金を貰ってる最中に再度厚生年金に加入したりすると、加入した月の翌月の年金から定額部分と配偶者加給年金は全額停止します。

また、厚生年金期間と共済組合期間とあわせて528ヶ月以上になっても今回のようなオマケは付かない。あくまで厚生年金期間のみ、または共済組合期間のみで528ヶ月以上を満たす必要がある。

ちなみにこの恩恵は、男性なら昭和36年4月2日生まれ、女性なら昭和41年4月2日以降生まれの人には適用外(この生年月日以降の人は65歳前から年金が貰える人ではないから)。

この大幅アップした63歳からの年金を63歳前から貰う事も可能(ちょっと年金減るけど)。その場合は必ずこうなるという事例はこちらの有料メルマガにてバックナンバーを購入する事も可能です。バックナンバー購入はまぐまぐマイページをお持ちか、有料メルマガ登録をされてる方なら誰でも購入可能です(クレジットカード決済のみ)。

学問としての公的年金講座バックナンバーリスト

image by: Shutterstock.com

年金アドバイザーhirokiこの著者の記事一覧

佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
年金は国民全員に直結するテーマにもかかわらず、とても難解でわかりにくい制度のためその内容や仕組みを一般の方々が学ぶ機会や知る機会がなかなかありません。
私のメルマガの場合、よく事例や数字を多用します。
なぜなら年金の用語は非常に難しく、用語や条文を並べ立ててもイメージが掴みづらいからです。
このメルマガを読んでいれば年金制度の全体の流れが掴めると同時に、事例による年金計算や考え方、年金の歴史や背景なども盛り込みますので気軽に楽しみながら読んでいただけたらと思います。

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【著者】 年金アドバイザーhiroki 【発行周期】 不定期配信

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