虚構新聞、雑コラ『23区ドーム化』がマジと思われトレンド1位に

2018.07.31
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この夏は、経験したことのない猛暑が続いている日本列島。ジョーク記事を配信し続けている虚構新聞のUKさんが、この暑さ対策を題材に、先日「東京23区をドームにして内部をエアコンで温度調整」という嘘ニュースを配信したところ、本気にしてしまったネットユーザーが「早くこうすればよかった」「現実味のない計画だ」「予算はどうするつもりだ」などと反応し、ツイッターのトレンド1位になるという現象が発生しました。

こちらが、その虚構新聞ニュースです。

この騒動について、UKさんご自身が、虚構新聞ファンに向けて配信されているメルマガ『虚構新聞友の会会報』のなかで、猛暑のなか非常に冷静に語られています。

流言蜚語~猛暑に思う~

ついこの前まで、大雨で社主室が雨漏りしたかと思ったら、今度は連日35度を超える猛暑。あまりの異常気象に、社会の安寧を願って仏門に入ろうかとうっかり血迷うほどですが、それほど暑いこともあって、今週お届けした記事2本はどちらも異常気象を扱ったものになりました。

▼「宗谷バナナ」たわわ 猛暑の中、収穫最盛期 北海道
http://kyoko-np.net/2118071601.html

▼東京23区、全面ドーム化へ エアコン完備「全天候型都市」目指す
http://kyoko-np.net/2018071901.html

月曜に配信した「宗谷バナナ」は、今月の「スマートハンティング」記事(http://kyoko-np.net/2018070901.html)につらなるディストピア的なオチを意識しながら、100年後の日本を想定して書いたものです(よく見ると日付が2118年になっています)。メモした当初は「バウムクーヘンの天日干し」的なほのぼの記事を考えていたはずなのですが、本文を書き進めているうちに「温暖化が進むと、暗い未来しか想像できないな」と、心がどんどん黒く染まっていった結果、このようなディストピアオチになりました。

続いて、木曜配信の「東京23区、ドーム化」は、組織委員会が東京五輪の招致活動の際、立候補資料に「この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である」と書いていたのを知って書いたものです。

気象庁が「命の危険が伴う猛暑」と発表するこの時期を「アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候」としてアピールするとは、目を疑うような内容ですが、本当にそう書いてあるのだから、事実は虚構より奇なりです。

▼組織委員会が提出した立候補ファイル(PDF)
https://tokyo2020.org/jp/games/plan/data/candidate-section-2-JP.pdf

7月末から8月上旬の日本を「理想的な気候」として世界にアピールして選ばれた以上、後になって、日程を前回の東京五輪のように秋に変えてしまっては、嘘をついて権利を勝ち取ったことになってしまい、批判を免れません。東京五輪の成功を心の底から願ってやまない社主としても、何とかして立候補ファイルの通り実現できないかと考えた結果、浮かんだアイデアは下記のような3案でした。

 (1)札幌を東京に改名して、札幌で東京五輪・パラリンピックを開催

 (2)2020年のみ10月と8月を入れ替え

 (3)東京23区をドームにして、内部をエアコンで温度調整

結論から言えば、今回は(3)を記事にしました。理由はいろいろありますが、決定的だったのは、いつもの雑コラ写真が思った以上にうまく作れたからです。

ところで少し話がそれますが、本紙の記事画像は、基本的にウィンドウズに最初から付属している「ペイント」ソフトを使って作っています。輪郭線も自動抽出できないので、21世紀なのにいまだに画像の輪郭部分を消しゴムツールでちまちまと消しているのです。それゆえ「本文はリアルなのに、写真はクソコラ」と言われますが、本気で読者を騙しきるつもりなど全くないので、現状の「リアル過ぎず、雑過ぎず」加減でいいと思います。

さて話を戻すと、今回の雑コラ写真も、消しゴムツールで青空を消した東京の街並みにドームの天井写真をくっつけただけのものなのですが、実際に作ってみたところ、見た目のインパクトとディテールが絶妙に雑な合成画像が出来上がりました。「この画像なら、誰でも虚構だと気付けるだろう」と思った次第です。

早朝に記事をアップしたあとは、就寝。アプリに通知を送る正午に再び起きて、ネットを見たら「全面ドーム化」というワードがツイッターのトレンド1位に入ったらしく、その後午後3時くらいまで接続が不安定な状態が続きました(ひょっとしたら午前中から不安定だったかもしれません)。

本紙記事がトレンドに入ることは時々ありますが、1位になったのは、おそらく昨年の「琵琶湖の水全部抜く」(http://kyoko-np.net/2017082301.html)以来じゃないかと思います。ふだん本紙が接続障害に陥るのは「バルス」の瞬間くらいなので、トレンド機能は本当に恐ろしい限りです。

せっかくなので、猛暑についてもう1つ。これはオリンピックに限った話ではありませんが、猛暑のせいで連日熱中症による死者も出ている昨今、「真夏にスポーツをすること」そのものについて、そろそろ本気で見直すべき時期が来ているのではないでしょうか。東京五輪では、外で行う競技を午前中や日没後に設定することで、問題を回避しようとしていますが(マラソンは朝7時から始めるとのこと)、おそらく今後真面目に問題になってくるのは、オリンピックより、今もなお炎天下で行っている夏の高校野球だと思います。

先日、朝日新聞が「運動部のみんな、熱中症「無理」「もうダメだ」の勇気を」という記事を掲載したところ、「炎天下で子どもに野球をやらせておきながら」と批判されることがありました。

▼運動部のみんな、熱中症「無理」「もうダメだ」の勇気を
https://www.asahi.com/articles/ASL7G5H4GL7GUTQP03W.html

朝日バッシングの一部として利用されているきらいはありますが、それを割り引いたとしても、この指摘は「高校野球」という旧態依然のスポーツを、あの朝日新聞が後援しているという矛盾を衝く痛い指摘だと思います。ついでに言うと、社主は高校野球独特の「球児」という言葉は、高校生という年齢にそぐわないから今すぐ辞めるべきだと常々主張しているのですが(これもいつか記事にすると思います)、平成も終わろうとしているこのご時世、昭和どころか戦前の価値観の悪い部分を引き継いでいる高校野球は全面的に見直すべき時期に来ているです。

と、そんなことを書いていたら、ちょうどこんな記事が流れてきました。以下一部引用します。

▼埼玉大会で熱中症相次ぐ 熊谷38.3度(ニッカンスポーツ)
https://www.nikkansports.com/baseball/highschool/news/p-bb-tp3-20130712-1155943.html

「川越初雁球場の第3試合では、川越西のエース井原彰吾(2年)が1点リードの9回2死で、突然マウンドにうずくまった。熱中症で右手にしびれを感じ、そのままグラウンドを後にした。熱中症による交代はチームで3人目。3回に横手優樹外野手(3年)、6回に森田京介内野手(3年)が、それぞれ暑さから両足をつり、救護室で治療を受けた。筒井一成監督(41)は「試合で倒れるなんて初めてです。何をやっているのか」とあきれ顔だった。」
(中略)
「埼玉県高野連・高間薫専務理事(58)は「ちょうど期末試験が終わり、体が慣れていないんじゃないかな。対策を考えないと。毎日これでは困る」と話した。」

酷暑のなか、試合を強行しておきながら、監督や高野連の理事が「何をやっているのか」「毎日これでは困る」と言っているのです。大雨だったらできるのに、なぜ大会を猛暑では試合を順延するという選択肢が浮かばないのでしょうか。

合理的な解決方法があるにもかかわらず、精神論、根性論のような不合理で乗り切ろうとした結果、最悪の事態を招いた事例は枚挙に暇(いとま)がありません。

3年前の読売新聞に、国交省の有識者会議が、五輪の暑さ対策として「打ち水、よしず、浴衣」を打ち出したという記事がありました。

▼真夏の東京五輪、暑さ対策に打ち水など検討へ
https://www.yomiuri.co.jp/olympic/2020/20150417-OYT1T50027.html

猛暑のため、この記事が再度注目を集め、ツイッターでは「虚構新聞の東京ドーム化の方が、打ち水より合理的」「どっちが虚構か分からん」などとも言われましたが、こういう非合理的な解決策を本気で行政が検討しているという、虚実が逆転しかねない末法感に、もはや「社主UK」から「僧侶UK」にジョブチェンジするしかないのかと悩まざるを得ない昨今です。

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京都市生まれ。滋賀県在住。虚構新聞社社主。2004年3月、虚構記事を配信するウェブサイト「虚構新聞」を設立。2010年「アルファブロガーアワード」にノミネート。第16回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門審査委員会推薦作品受賞。2012年開始のメルマガ「虚構新聞友の会会報」では、記事執筆の舞台裏やコラムなどをお届けしています。

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