中国に振り上げた拳を日本に下ろす。日米貿易摩擦は再来するのか

 

米国の経済制裁国拡大

米国トランプ大統領の経済政策は、戦略的な観点でも理解できない。あまりにも多くの国に対して経済制裁を掛けている。ロシアにも経済制裁を掛け、トルコにも経済制裁を掛け、イランにも経済制裁を掛け、中国とは大規模な経済戦争を行い、敵の数を増やしている

米国の同盟国でもあるカナダにも自動車関税を引き上げると脅し、メキシコにも同様な脅しを掛けているが、両国ともに米国の要求をのまない。インドもアルミ・鉄鋼の高関税に対して米国への報復関税を掛けて対抗している。本来、中国包囲網を築くべき諸国にも経済制裁を掛けているので、米国の友好国でも離れていくしかない状況を生み出している。

このように米国が多くの国に制裁を掛けて敵の数を増やしたことで、北朝鮮も米国との非核化合意を無効化しても大丈夫と見て、とうとう、ICBM・核開発を進め始めた

そして、欧州、カナダや豪州、ニュージーランドも米国から離れ、米国の孤立化は仕方がないが、日本の針路にも大きな壁となってきている。

安倍首相がトランプ大統領に示した友情を仇で返すなら、日本も離れることである。信義を重んじない人や国とは、それ相当の付き合いしかできない。2年後の次の大統領になるまで、いろいろな交渉なども引き延ばすしかない。米国との間で何も決めないことである。

トルコ・エルドアン大統領の野望

米国とトルコの話し合いも物別れになり、米国はトルコからのアルミ・鉄鋼輸入に50%の関税を掛けた。このため、トルコリラが大暴落している。

今までも米国との関係を棄損して、ロシア寄りにシフトしていたが、米国の経済制裁で、NATOから脱退して米国とは敵になり、米軍が支援するシリア内のクルド族を攻撃できることになる。地政学的なリスクを誘発させかねない。

もし、エルドアン大統領の野望であるオスマントルコ実現のためにトルコがクルド族と米軍を攻撃すると、中東での均衡が一気に崩れることになる。米トルコ紛争は大変なことになるが、一番問題なのは、米国の味方であるイスラエルとサウジになる。

イラン、トルコ、シリア、ヒズボラなどの多数の周辺国と中国、ロシアが中東に揃い、カタールにある米国の中東軍を叩くと米軍は、孤立無援になる。イスラエルに逃げ込むと、イスラエルへの攻撃が起こり、黙示録の予言が現実化することになる。心配だ。

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