元国税調査官がこっそり教える、親の家を「無税」で相続する方法
完全分離型の二世帯住宅でもOK
この「小規模宅地等の特例」は、非常に魅力的な制度ですが、「同居」という条件があるので、そこで引っかかっている人もけっこう多いはずです。
が、この「小規模宅地の特例」は、平成27年の改正により、完全分離型の二世帯住宅も対象とされることになりました。以前は、完全分離型の二世帯住宅はこの特例の対象外とされていました。玄関や住宅の一部が共同になっている住宅しか、この特例の対象とはされなかったのです。しかし、平成27年の税制改正からは、玄関が別々で、両家の間が行き来できない「完全分離型」でもいいということになったのです。
完全分離型の二世帯住宅ならば、二世帯住宅のハードルもかなり下がるのではないでしょうか?
親が老人ホームに入居しても可
また平成27年の改正では、「死亡時に老人ホームにいても、入所前に同居していれば、特例の対象となる」ということになりました。この特例は、何度か述べましたように、原則として財産を持っている人と、それを相続する人が同居していなくては適用できません。
だから、以前は、親が高齢のために老人ホームに入所したような場合は、この特例が適用できなくなっていたのです。しかし、平成27年の改正により、親が老人ホームに入所したことで、死亡した時にその家に住んでいなかったとしても、介護が必要なために入所したような場合は、適用されることになったのです。
同居していなくても無税で親の家をもらう方法
しかも、この「小規模宅等の特例」では、必ずしも同居していなくても、この優遇制度を受けられるケースがあるのです。それは、どういうケースか簡単にというと、
「被相続人に同居している相続人がいないこと」
「相続人が自分の家を持っていないこと」
です。
つまり、持ち家がなく賃貸住宅に住んでいる相続人が、故人の家を引き継いだ場合、この優遇制度を受けられるのです。
典型的なケースでは、故人が一人暮らしで、子供は別のところで賃貸住宅に住んでいる、というようなものです。こういうケースは、昨今よくあると思われます。
この制度は「家なき子制度」と言われています。この「家なき子制度」は、家を持っていても売却してしまっている人や、持ち家を賃貸に出して3年以上経過した人も、対象になります。
家なき子制度の主な条件は、次の2点です。
- 故人と同居していた法定相続人がいない
- 法定相続人は3年以上、賃貸住宅に住んでいる
この条件に満たしているような人は、ぜひ「家なき子制度」を使いたいものです。
改定「家なき子制度」で何が変わった?
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