需要を引っ張る「パワーカップル」とは、どのような夫婦でしょうか。パワーカップルはいずれもフルタイムで働く夫婦で、2人とも年収が700万円を超える夫婦といわれています。これは、全世帯の0.5%、共働き世帯の1.8%程度に過ぎないのですが、その人たちが、都心のタワーマンション需要を牽引しているのです。
世帯収入が700万円以上の世帯でも全体の27%ほどです。それが、700万円×2で世帯収入1,400万円というのは、ごく少数です。それでも、30歳代、40歳代で、1人で1,400万円を稼ぐ人はさすがに限られているでしょうが、1人で700万円は十分あることです。×2の威力は大きいです。
一昔前は、高収入の男性は、専業主婦の女性と結婚する傾向があったのですが、最近は、高収入の人は配偶者にも高収入の人を選ぶ傾向があるので、1人の収入の格差は、×2の世帯収入格差となって現れているのです。
不動産市場に関するニュースでは、全体から見ればごく少数だが購買力が高いパワーカップルの動向ばかりが注目されますが、それ以外の30歳代、40歳代の世帯の住宅事情は、どうなっているのでしょうか。
あまり注目されませんが、別の価値観で住宅選びを考えている子育て世帯は、もっと、もっと多いのです。価格が安くなった高経年団地等では空き家が問題とされますが、最近、若い家族の入居も知らないうちに結構増えている…という話を聞くこともあります。
環境が良く、比較的交通の便もいいところは、郊外型団地でも、まだまだ可能性がいろいろあるような気がします。「価格が安い」ということは、所有している人にとってはあまり歓迎できないことでしょうが、市場から見たら、一つの大きな魅力であることに違いないのです。
なかなか実態を把握しにくいのですが、ごく平均的な収入の世帯の住宅選びの多様性にも、注目していきたいと思います。
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