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ところで、「セルフ・キャリアドック」って一体どんなもの?

国が導入支援している「セルフ・キャリアドック」という制度。耳馴染みのない言葉でイマイチピンとこない、という方も多いのではないでしょうか。今回の無料メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』で、その内容を会話形式でわかりやすく解説しています。

セルフ・キャリアドック導入支援

国の考え方は、こうだ。「ひと。最近では、人手不足もあり、生産性をあげるために、研修だ、やれ、能力開発だ、と国は言う。キャリア形成助成金、セルフキャリアドック助成金。国は、キャリコンサルタントを10万人つくれ…と言っていたが。


新米 「今年の3月末日までに計画申請した助成金って、メンター制度とキャリアドックでしたよね?」

大塚T 「そうよ。君の担当も1社あったけど、段取りは進んでいる?」

新米 「もう昨年度でなくなってしまったこの助成金は、僕にとっては、初体験で、最後になります。先輩の見よう見真似でなんとか頑張ります」

E子 「先月、キャリアドック制度を就業規則に導入したでしょ。次は、キャリアコンサルの実践よね。この間から、所長がD社さん他で面談すすめてるでしょ」

新米 「そうですね、先週、D社の従業員さんが来ておられましたね。そもそもセルフキャリアドックってどう説明したらいいんでしょう? 助成金の申請説明は、一通り読みましたが、奥が深いというか、国が考えていることがイマイチわからないです」

大塚T 「そうなの? 確かに助成金は国の施策だから、何を考えてこの助成金がつくられたかは知っておく必要はあるね」

新米 「キャリアコンサルっていうのは、所長も持っている資格で、横から見ているとなんとなくわかるんですけど…、キャリアドックっていうのが、よくわかりません」

大塚T 「そもそもセルフ・キャリアドックって何? ってことよね」

新米 「そうそう、そういうことなんです」

E子 「セルフ・キャリアドックっていうのは、定期的なキャリアコンサルティングとキャリア研修などを組み合わせて行う従業員のキャリア形成を促進・支援することを目的とした仕組みのことをいうのよ」

新米 「そういう風に言えば良いんですね。お客様にどう説明すればいいのか困ってました」

大塚T 「セルフ・キャリアドックを導入することで、企業にとっては、人材の定着や従業員の意識向上を通じた組織活性化が期待されるんですと、伝えると良いのよ」

新米 「そうですね。そのトーク使わせてもらいます」

E子 「セルフ・キャリアドックの具体的な進め方としては、

  1.  キャリア研修…自分のキャリアの棚卸をし、キャリア目標やアクションプランをつくる
  2. キャリアコンサルティング…従業員とキャリアコンサルタントが1対1で面談を行い、従業員さんが働くうえで大事にしていること、企業から求められている役割や責任などの確認を行う。それらを基にしたキャリアビジョン、行動計画を実施する
  3. フォローアップ…職場、上司など組織全体で支援し、課題の解決をしていくアンケートなどでの継続的な振り返り

ってことになると思うわ」

新米 「そういば、今月のうちのレポート提出のテーマは、ジョブカードそのものと、『ジョブカードについて(その成り立ちや位置づけ、目的など』ですね。ジョブカードって初めて書きますが、履歴書にも似ていますね」

E子 「履歴書というより、職務経歴書に似ているかな。面接でも、職務経歴書の代わりにジョブカードを提出してほしいという企業も増えて来ているわ。ジョブカードの説明もしておくわね。ジョブカードっていうのは、『生涯を通じたキャリア・プランニング』をしていくためのツールよ。『職業能力証明』の機能を担うツールでもある。個人のキャリアアップや、多様な人材の円滑な就職等を促進するため、労働市場インフラとして、キャリアコンサルティング等の個人への相談支援のもと、求職活動職業能力開発などの各場面において活用するものとされているの」

新米 「通常の職務経歴書と比べて、キャリアプランや、資格や免許、教育訓練歴やその成果なども書くため、ちょっと枚数が多くなりますね。正直、書く方としては、メンドクサイかも…」

大塚T 「確かに、不要だったら、ボリュームも多いし、面倒ね。でも、ジョブカードを通じて、自身のキャリアの整理ができるので、書いてみたら、役に立つとは思うわ」

新米 「キャリアの棚卸ということですね」

E子 「職務経歴書はこれまでの経験とアピールしたい内容が中心だけど、ジョブカードは、これまでに形成してきたキャリアと今後形成したいキャリアプランをはじめ職業訓練や自己啓発してきたことも細かく書くことができるわ。未経験職種にトライする場合などは、ジョブカードのほうが書く項目が決まっているため、書きやすいかもしれないわね」

新米 「面接でジョブカードを指定されていなくても、自分の目的によって使い分けして良いってことですね」

大塚T 「そういうことね。あと、教育訓練に受講する場合は、国が定めていることから、ジョブカードの作成が必須となるわよ。助成金で指定されている場合もね」

新米 「そういえば、厚生労働省が、企業の『セルフ・キャリアドックの導入を無料で支援する拠点を東京と大阪の2ヵ所に開設したという記事をみました」

E子 「キャリアコンサルタントを配置し、セルフ・キャリアドックの導入を検討する企業にアドバイスを行うほか、企業内でキャリアコンサルティングの機会を得ることが難しい人からの仕事や将来のキャリアに関する相談にも応じてくれるそうね」

新米 「へぇ~。キャリアコンサルタントさんにお願いするのは、一般的には有料だったけど、ここを利用すれば無料でアドバイスも受けられるということなのかなぁ。毎回、所長の時間を使うわけにはいかないし、僕らのようなものには、メリットがあるかも…」

大塚T 「企業に勤める人が個人的に使いたい場合にも、使えたら良いわね。ただ、継続して同じ人にお願いするのは、無料では難しいでしょうね」

新米 「はぁ…そこは仕方ないとあきらめなきゃ…ですね。一度、問い合わせてみます」


■キャリアコンサルタントとは

キャリアコンサルタントとは、学生、求職者、在職者等を対象に職業選択や能力開発に関する相談・助言を行う専門職である。2016年4月に職業能力開発促進法にキャリアコンサルタントが規定され、国家資格となる。キャリアコンサルタントは名称独占資格であり、キャリアコンサルタントでない者は「キャリアコンサルタント」又はこれに紛らわしい名称を用いることができない。主な業務として、就職希望者や労働者を対象に、職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談を行う。この相談のことをキャリアコンサルティングという。「キャリアコンサルタント」とは、キャリアコンサルティングを行う専門家で、企業、需給調整機関(ハローワーク等)、教育機関、若者自立支援機関など幅広い分野で活躍している。

キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント(厚生労働省)

image by: Shutterstock.com

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【著者】 イケダ労務管理事務所 【発行周期】 週刊

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