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ハロウィン軽トラ横転事故の撮影者が語る一部始終と心理学的分析

年を追うごとにハロウィンの時期に渋谷を訪れる人々の数が増え、さまざまな問題が露呈しています。そんな中、今年起きた「軽トラック横転事件」。メディアもこぞって取り上げていましたが、実は無料メルマガ『セクシー心理学! ★ 相手の心を7秒でつかむ心理術』の著者で現役精神科医のゆうきゆう先生が現場に居合わせていました。今回の記事ではその一部始終を詳しく記すとともに、なぜこの事件が起こってしまったのかを心理学的に分析しています。

「渋谷ハロウィンの軽トラック横転はなぜ起こったか?」目撃者による心理分析

こんにちは!ゆうきゆうです!

さて最近、渋谷でのハロウィンを見に行ったのですが、その際に軽トラック横転の事件を見ましたので、その報告です。

※映像は当時のTwitter動画からご覧ください。

その後、Twitter・サイトなどから10社以上の報道機関の方から「映像を使わせてほしい」「どんな状況だったのか」とご連絡をいただきました。今まで、たった1日でここまで多くの方に取材を受けたことなかったので驚きでした。しかも「心理学的にどうなのか」とよくいただく形の取材ではないというこの奇跡。

テレビなどで「提供 ゆうきゆう」みたいに記載いただいているのを見て「何であの精神科医がここにいるのか」「ゆうきゆうは人として横転しているのではないか」「横転というより汚点ではないか」というツッコミが重々上がるだろうことを想定しております。

いずれにせよ「どんな状況だったのか」というご取材がすごく多かったため、この場に記載しておこうと思いました。

横転の前の状況について

そもそも渋谷のハロウィンについて、「いつか行ってみたい!」「どんな人がいるんだろう!」「どんなコスプレをしてるんだろう!?」というのは以前からすごく気になっていました。そのため今回、見に行ってみました。「何か起こるだろうから」とかの予感はまったくなく、純粋にハロウィンを見てみたい、という気持ちでした。

センター街の奧、ビルの壁際にマクドナルドが見えるところで、それは起こりました。自分がそこに来て見たとき、軽トラックが、コスプレをした群衆に囲まれていました。そして軽トラックでは、年配の男性が、運転席に座っており、その荷台では、一人の男性がひたすらバク宙をしていました

何だろうこれ。何の見せ物だろう。自分自身、最初に見たときは、コスプレイベントの一貫だと思いました。そもそも、なぜこんな群衆の中に、軽トラックで入ってくるのか。この詳細は分かりません。周りをたくさんの方が囲っており、動くこともできません。そもそもどうやってここまで入ってきたのか。

もちろんですが、クラクションを鳴らしながら強引にでも移動すれば、みんなも道を開けるように思えるので、あえて止まっているのかな、とも考えました。しかも荷台でバク宙している人がいても、何も注意せず、運転席にただ座っていたので、正直「軽トラック運転というコスプレなのかなと思ったくらいです。なぜ軽トラックはその場にいたのか? 本当に色々と謎です。

【A】完全に巻き込まれた、移動したかっただけの人

なのか。または

【B】軽トラックでハロウィンの中に入ってくるというパフォーマンス

だったのか。そもそも、純粋な移動として軽トラックを選定するのも不思議です。渋谷に移動する、すなわち渋谷を活動エリアとしている方が、普通に使用している車が軽トラック…。

何にせよBとして考えられる理由として

  1. 明らかに移動できなさそうな群衆の中に、わざわざ入ってくるのか?
  2. そしてなぜ止まっていたのか?(あの位置まで来た瞬間に急に群衆が増えたとも考えづらいので)
  3. しかも上に一人が乗ってる時点で、なぜ何も言わなかったのか?(注意しづらい、とかはあると思いますが、最初の時点では一人でした)
  4. なぜ軽トラックという車を選定したのか?

という疑問が湧き、Bの可能性を否定できないと思いますが、何にせよ色々な可能性がありえると思いますので、断定はしません。

まるでゾンビ映画のように、その後、しばらくすると、他の男性だけでなく女性たちも、その荷台に乗り始めました。軽く「お立ち台みたいな雰囲気でした。みんなでその上で踊っている状況でした。さらに彼らの中には「全力ジャンプ」する方もおり、そのため運転席の天井が「ベコン!ベコン!」とヘコんできました。

え、これ、軽くホラーだと。運転手さんが前者・後者どっちであったとしても、さすがにこの状況までは想像しなかったのではないでしょうか。彼らの中にはゾンビ仮装をしている方も多いため、ゾンビ映画で、運転席でどんどんゾンビたちに追い詰められていくような状況です。まぁ、ここまで物理アタック繰り返してくるゾンビも珍しいと思いますけども。たぶん監督に止められる。「そこまではしなくていい」みたいな。

そして事件は起こる。さらにヒートアップしたのか、横から軽トラックを揺らす人たちも現れました。この段階になってくると、上に乗っている人たちも、どんどん降りていきます。それもあって、さらにトラックを揺らす人が調子に乗り始め、車体はグラングラン揺れます。一度は静かになりましたが、再びヒートアップし、車体はさらに大きく傾きます。そのころには、運転手の方も「危険だ」と思われたのか、運転席から出ていました。軽トラックが無人であることもあり、押す人たちはさらに大きく揺らしました。

それがさらに大きく傾き…! ガーン! という音を立てて、地面に横転しました。

「うわーーっ!」
「きゃーーっ!」

群衆からさらに大きな声があがります。「危ない状況」というよりも「すごいものを目撃してしまった!」というお祭りのような雰囲気があったかもしれません。

ただホントこれ、大丈夫かと。ガソリンが漏れて爆発したりしないのだろうか。自分はそんな風に考えたのですが、そんな心配、一切しない方が多いのか、さらにその横転したトラックの上に乗って踊り始める方がおりました。自分が撮影したのはそのときのシーンです。

その倒れた瞬間を捉えられた方の映像は以下のTwitter動画からご覧いただけます。

その後について

しばらくすると、警察官の方が群衆をかき分けてきました。最初は一人、しばらくして数人くらいでしょうか。方向からして、宇田川町の交番の方かな、と考えました。

そもそもそれまで警察官の方は周囲にはいませんでした

それまでの時間は大勢いて、さらにアナウンスまで行われてましたので、もしかして12時くらいで帰られるのかな、と考えました。さすがに一晩中見張っているのはムリだと思います。当然かと。しかし深夜にこんなことになるとは誰も予想してなかったのではないでしょうか。

そして到着された警察官の方は、その運転手さんとお話をされていました。どんな話をされていたのか分かりません。

しばらくして、倒した方たちが、今度は力を合わせて軽トラックを戻していました。戻ったときには「やった!」みたいな顔でみなさん喜ばれていました。まるで災害救助の現場で、みんなで協力して事故車をどけた! みたいな。「いや、やったのお前らやん」と周囲から無言のツッコミがあがってた気がします。

すると警察官の方が群衆にたいして、道を開けるように指示し、運転手の方が再び軽トラックに乗り込むと、その指示に従って移動し始めました。

だいたいの一部始終はこのような形です。そして今回、この事件には、二つの心理学要素がからんでいるのではないかと分析しました。

◆心理分析1「バンドワゴン効果」

実際に心理学では「バンドワゴン効果」というものがあります。

人間が無意識に他の人の行動や選択に合わせてしまう心理のことを言います。世界中誰にでもある傾向なのですが、これは日本人の場合、特に強くなります。たとえばお店でも「この商品は一番の売れ筋ですよ!」と言われたら、ついつい「あ、じゃあソレにしておこうかな」と思いませんでしょうか。

「一番はちょっとイヤだから、二番にしておく」という人もいるかもしれません。または三番目くらいのものを買う人もいるでしょう。でもせいぜいそれくらいで、「この商品は一番不人気ですよ」と言われたら、さすがに買う人はレアすぎると思います。もしくはよっぽどの精神的マゾかもしれません。

何にせよ人間、無意識に「他の人の選択に左右されてしまう」のです。とにかく今回「みんながやっているから、自分も軽トラックを押そう!揺らそう!」という人が多かったのではないかと考えます。さすがに「誰もやっていないけど、俺が一人で押して倒そう!」なんて勇者はいないと思います。まぁ、心理学的な理由以前にパワー的な問題もあると思いますけども。

◆心理分析2「傍観者効果」

そしてもう一つが「傍観者効果」。「なぜ周囲の人が通報しなかったか」「なぜ周囲の人は止めなかったのか」などの意見もあるかと思います。

しかし人間、「何かが起きても誰かが助けたり通報してくれるだろうと考えて自分は何もしない」という心理があります。これこそが傍観者効果。

元は1964年、あるアパートの前で女性が殺される事件が起こりました。これ、数時間にわたって被害を受けており、なおかつ38人もの人が(あとから判明したのですが)それを目撃していたのにも関わらず、誰も通報しなかった…という事件から生まれた心理法則です。

みな「誰かが通報するだろう」と考えてしまうわけです。ましてや「自分が助けにいこう」と思う人はさらにレアなのです。くわえて今回、そもそものところ、上で話したように、「軽トラックの方もパフォーマンス(参加者)なのでは?」と思ってしまった方もいたのではないか、と考えます。

実際、揺らしていたときに、運転手の方がお前らそこまでやっていいとは言ってないぞ!と話されていたと、あとからお聞きしました。とはいえ結果的に自分自身も見ているだけになり、「結局、お前も傍観者効果に巻き込まれてるやん」と言われてもしかたない状況だと思います。それについて大変申し訳ありません。いずれにしても、多くの方が参加されていた中で起こった軽トラック横転。現場の状況と心理分析としては以上です。

今後は?

結構、ニュースを拝見しますと、「成人式で暴れる事件」みたいな形で扱われているようです。そして実際にみなさま、そう思われていると思います。それについては「確かにそうだと思う」と自分も思います。めっちゃ通じる。新成人だろうが、それ以上の方だろうが、人間心理は、根本的には子供のままなのかもしれません。

とはいえもちろん、再発してはならない事件。今回のことが少しでも教訓となって、「監視の強化完全な通行止め」、また参加者の一人一人が心にとどめ、決して再発させないと誓うなどの対策が望ましいと考えます。

以上、無難なまとめをしつつも、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

image by: ゆうきゆう

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【著者】 大和まや・ゆうきゆう 【発行周期】 週に1度、宝石が届きます。

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