こうした事項を国民に問う国は世界各国を見渡しても、そう多くはありません。つまり、台湾の民主主義はかなり深く社会に浸透しているということであり、そのことに世界は注目しているわけです。
ただし、ここには「台湾の未来を決める」と主張して注目される喜楽島聯盟が訴える「台湾の独立」が削除されています。今回もまた、「中華民国の政権体制内」での行政問題のみを問うものであり、ごまかしの意味が見え見えです。
真の公民投票とは何かをもう一度問うべきですが、私には投票権がありません。台湾を出て1年以上が経つと、戸籍は「自動消滅」するという新しい規定があるからです。それでも私は24日は台湾に行く予定をしています。投票権がないため見るだけです。
そして、選挙を目前に控えた今、台湾メディアでは中国の選挙妨害についてのニュースが目につきはじめています。中国が他国の選挙を妨害するという事実については、先ほどのアメリカの中間選挙の時にも話題になりました。
トランプ大統領は、目くじらを立てて中国の選挙妨害を批判しましたが、確たる証拠もないため、中国にのらりくらりとかわされてしまいました。
それどころか、中間選挙の結果、アメリカ国会がねじれ国会になってことについて、中国外務省の華春瑩報道官は、皮肉まじりに「選挙結果について言及する立場にはない。言及すれば、また内政干渉だと言われるからね」、などと涼しい顔でせせら笑っていました。
そして、まさに今、同様のことが台湾に対しても行われているわけです。頼行政院長はかなり強い語気で、台湾の統一地方選挙に中国が介入してきていることを批判し、立候補者や有権者に注意を喚起しています。以下、引用します。
法務部(法務省)調査局の呂文忠局長は今月22日の立法院内政委員会で、中国が選挙に介入した疑いのある案件はすでに33件把握していると明かした。支援者を中国への旅行に招待するという手段が多く、それ以外にも資金を提供するなどの方法で選挙干渉を行っているという。境外の調査で困難な面があるとしつつも、すでに得ている証拠もあり、調査を進めていると説明した。
フェイクニュースを流して人心をかき乱す。これは、9月に台風21号の影響で関西国際空港に多数の旅行客が取り残された問題をめぐり、台湾人旅行客への支援が不十分だったとして、日本にある台湾の出先機関の対応が批判されていたことが原因で、台北駐大阪経済文化弁事処(領事館)の蘇啓誠処長が自殺した事件を思い出します。このときも、中国のフェイクニュースが原因でした。
● 台湾人「外交官」を自殺へと追い込んだ、中国の卑劣な偽ニュース
フェイクニュースは、場合によっては人の命まで奪ってしまうのです。頼行政院長が深刻に注意喚起するのもわかるというものです。