「物価が下がれば年金も下がる」を理解しない世代が次世代を潰す

 

ちょっと話がズレましたが、年金もその狂乱的な物価の引き上げに対応して、すぐさま物価スライドが発動された。また、昭和48年の年金改正の時に、厚生年金に関しては現役時代の男子の平均賃金に対して60%以上の年金の支給を目指すようになった。平成2年の時に物価が5%より下がっても、物価に変動させるという完全物価スライド制に移行した。そんな感じで毎年物価に変動していくのが年金だった。

その昭和48年に第四次中東戦争によるオイルショック後は景気が急激に悪くなり、日本は昭和50年からついに赤字国債を出すようになった(財政赤字になる)。国民から借金をしないと予算が組めないようになってきた。そして平成3年のバブル崩壊により、経済は停滞期に入った。その後も物価はとりあえず上がっていったから、年金も上がるし国民としてはその点に関しては文句は無かった。

昭和60年改正の時の国民年金額が年額60万円だったが、平成6年改正の時に78万円にまでなった。その平成6年改正の78万円からもとりあえず物価は伸びていき、平成10年までに1.031物価が上がった。78万円から1.031を掛けると、804,180円となります。平成11年度の年金額は804,200円になった。平成27年10月になるまでは年金額は100円未満四捨五入だったから、当時の金額で国民年金は804,200円という事になります。

ところが、平成11年に物価が初めてマイナス0.3%マイナス)になってしまった。こうなるともちろん翌年の年金額も0.3%引き下げないといけない。でも平成12年の年金改正の時に804,200円から下げなかった。下げたら年金受給者は怒るし、選挙にも強く影響してしまうから。物価は下がったけど今後物価が上がった時に相殺すればいいと考えた。

しかし、平成12年は0.7%マイナス、平成13年は0.7%マイナスというようにひたすら下がっていった。全部で1.7%のマイナスになった。本来は年金も1.7%下げなければならないけど(804,200円×0.983=790,500円)、その3年分は年金を引き下げずに据え置いてしまった(そのまま804,200円)。

平成14年は物価が0.9%マイナスになったがさすがに耐えきれずに、平成15年度の年金額は物価に応じて0.9%引き下げる事にした。804,200円で据え置いてきたけど、平成15年度は804,200円×0.991(←0.9%マイナスの事)=797,000円の年金額になった。さらに、平成15年も物価が0.3%下がって、804,200円×0.988(←0.9%+0.3%)=794,500円となった。1.7%余計に年金額が多くなってるけど、今後物価が上がった時にその分を相殺していこうとされた。

本当であれば、平成11年0.3%マイナス、平成12年0.7%マイナス、平成13年0.7%マイナス、平成14年0.9%マイナス、平成15年0.3%マイナスで合計2.9%マイナス(←0.971)が本来の下げ率でありました。つまり平成11年の804,200円から0.971を掛けた780,900円が本来の価額だった。1.7%据え置いてしまって、さっきの794,500円よりも、もちろん2.9%下がってる本来の金額である780,900円が低いですよね。

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