前回の記事「大きなトラブルの種。普通解雇と懲戒解雇の違いを知ってますか?」では、懲戒解雇と普通解雇の違いについて紹介してくださった無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』の著者・飯田弘和さん。今回は、解雇の前に従業員自らの意思で辞めてもらうよう働きかける「退職勧奨」について詳しく解説しています。
その退職勧奨の進め方、大丈夫?
前回の「大きなトラブルの種。普通解雇と懲役解雇の違いを知ってますか?」では懲戒解雇と普通解雇についてお話ししました。ただ、実際には、解雇を行う前に退職勧奨を行うことが多いのではないでしょうか?今回は、退職勧奨を行う際に気を付けるべき点についてお話していきます。
退職勧奨とは、会社が従業員に辞めてもらうために退職を勧めることです。会社が「辞めてもらえませんか?」と退職を促し、従業員自らの意思で辞めてもらおうと働きかけることです。自発的な退職を促す説得活動ともいえます。
退職勧奨は、会社がいつでも自由に行うことができますし、勧奨理由も必要ありません。前ぶれもなく突然に、退職勧奨が行われたからといって、違法になったりはしません。
ただし、退職勧奨の面談時に会社側が威圧的な態度をとったり、相手を侮辱するような発言には気を付けるべきです。大声を出したり、机をたたいたりするのもダメです。心理的な圧迫を与えたとして、違法となる場合があるからです。
また、面談の回数があまりにも多い場合や、面談が長時間にわたって行われた場合も違法となる場合があります。退職勧奨を行う場合、1回の面談時間は1時間程度、面談回数も3回程度に抑えておくべきでしょう。それで応じてもらえないなら、解雇を考えるべきでしょう。ただし、懲戒解雇の可能性を示唆しての退職勧奨は、強迫の要素と評価され、違法と判断される場合があるので注意が必要です。
ところで、明らかに能力不足の従業員や勤務態度に問題がある従業員に対して退職勧奨を行う場合には、それまでの人事考課表や指導書、懲戒処分通知書等の資料を本人に示すことで、退職勧奨の説得力が増します。
明らかな問題があるわけではないが辞めてほしい従業員に対する退職勧奨については、本人のプライドを傷つけないよう配慮が必要です。多少おだてながらでも、その人の能力を立てるようにして、プライドをくすぐりながら退職勧奨をすることになります。具体的には、「あなたほどの能力があれば、他社でその能力を活かし活躍できるはず」等の発言をしていくことになります。
また、長く会社に貢献してきた従業員への退職勧奨については、しかるべき立場の人間が退職勧奨に当たるべきです。小さな会社では、社長自ら退職勧奨を行うべきでしょう。その際には、今までの貢献に対して感謝を示しながら、誠心誠意説得するしかありません。
いずれの場合であっても、退職勧奨については、その回数・時間・手段・方法・態度等について、従業員の「自由な意思形成」を阻害していないかということがポイントになります。冷静に、丁寧に、不必要に圧迫しないように説得していかなければなりません。
最近は、退職勧奨を受けたことや解雇になったことで精神疾患を発症し、労災申請をして認定されるケースも増えているそうです。そのようなことにならない為にも、退職勧奨を行う際は、慎重に、くれぐれも退職強要とならないように注意してください。
以上を踏まえて、改めてお聞きします。
「その退職勧奨の進め方、大丈夫?」
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