中国激怒。ファーウェイ孟晩舟CFOがいま逮捕された本当の意味

 

ところで、なんで逮捕されたの?

まず、直接的な理由から。

中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・最高財務責任者(CFO)が米国の要請でカナダで拘束されたことを巡り、ロイター通信は6日、米司法当局がファーウェイについて、対イラン経済制裁を回避する金融取引に関与した疑いで捜査していると報じた。
(毎日新聞12月7日)

ファーウェイがイランと取引をしたので逮捕したと。

米当局は2016年から捜査に着手し、ファーウェイが英金融大手HSBCホールディングスを介して違法な金融取引に関わったとみて調べているという。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)によると、HSBCがファーウェイによるイランとの疑わしい取引の情報を米当局に報告した。
(同上)

HSBCがアメリカ当局に「ファーウェイがイランと取引していますよ」と報告した。もちろん、HSBCには送金記録など証拠が残っていることでしょう。

米中戦争の犠牲者

「イラン」は直接的な理由ですが、他の原因もありそうです。

「米政府はファーウェイを叩く方法を探している」と、環球時報とその英語版グローバル・タイムズの胡錫進編集局長は言う。環球時報とグローバル・タイムズは、中国共産党の機関紙系と位置づけられることが多い。「米政府はファーウェイを押さえ込もうとしている。なので、ファーウェイ製品を使わないよう、同盟国に圧力をかけている。ファーウェイの評判を破壊しようとしているのだ」と胡氏は主張する。

 

米国、オーストラリア、ニュージーランドの3カ国は最近、安全保障上の懸念を理由に、より高速な通信が可能となる5Gモバイルネットワークのインフラ機器調達からファーウェイを除外した。胡氏はこのことに言及している。直近では英国のブリティッシュ・テレコム(BT)も、次世代通信規格「5G」についてファーウェイ製品は使わない方針を明らかにした(ただし、巨大アンテナ塔や通信塔など「無害」と判断したネットワークの部品は使用する方針)。

(BBC NEWS JAPAN 12月7日)

アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスは、ファーウェイを排除しはじめている。これは「安全保障上の理由」とされています。

ファーウェイの創始者で孟氏の父親の任正非氏は、中国人民解放軍の元軍人だ。そして、ザーグマン氏が米シンクタンクのロウイー研究所に最近寄稿したように、「ファーウェイと人民解放軍の強固な関係は、今なお懸念される不透明な問題」だ。
(同上)

創業者任さんは、人民解放軍の元軍人。ファーウェイと人民解放軍の関係は、いまも強固。でしょうね~~~~。中国のような国でビジネスを成長させつづけるためには、政権との良好な関係が不可欠です。

だからこそ米政府は、ファーウェイのような中国企業には用心すべしと各国に呼びかけているのだ。中国の法律では、民間企業も個人も、政府の要請があれば情報やデータを政府に提供しなくてはならないかもしれない。その可能性があるからこそ、ファーウェイとの取引には及び腰になるのだと米政府筋は言う。
(同上)

中国政府が要求すればファーウェイは情報データを提供しなければならない。これも、そのとおりでしょう。アメリカは、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスからファーウェイと追いだすだけでは満足していないようです。

「もしファーウェイが捜査線上に上がっているなら、他の機器メーカーが北米市場や、場合によっては他の先進国市場で有利になり、ファーウェイとZTE(中興通訊)はどちらも不利になるかもしれない」

 

他の市場ファーウェイが足場を失いつつあるのは、先進国市場だけではない。新興国市場でも、同社への目線は厳しくなっている。業界消息筋によると、米政府はアジアの同盟諸国にもファーウェイ機器の使用をやめるよう圧力をかけている。最近ではソロモン諸島やパプアニューギニアが圧力を受け、次はインドだろうと言われている。

(同上)

要するに、アメリカは、ファーウェイを世界市場から締め出そうとしている。これは、安全保障もそうですが、経済戦技術戦でもありますね。

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