「株価急落」などまだ甘い。あえて年末にする近い未来の怖い話

 

問題は、その点ではありません。

年末に怖い話をするのは恐縮ですが、アベノミクスについては、出口戦略を考えなくてはならない事態が近づいているような気がしてなりません。

どういうことかというと、日本経済というのは決して優等生ではなくボロボロなのは事実ですが、それでも「比較優位の立場に押し出されてしまう危険があるからです。

まずアメリカですが、本稿を整理している12月24日のクリスマス・イブは、ダラダラと株価が低迷しており、大変に不気味な様相を呈しています。理由は大きく3つあります。

まず1番目としては、トランプ大統領がFRB連銀のパウエル議長を更迭したがっているという問題があります。FRBというのは独立機関ですから大統領がトップをクビになどできないのですが、大統領は今回の利上げでカンカンになっており、猛烈な圧力をかけているということです。そんなことがまかり通るようでは、米国の通貨制度の信用にも関わるわけで、市場としては嫌気がするのは当然です。

これに加えて、2番目としては、23日の日曜日にムニューシン財務長官が、モルガン・スタンレーのダイモンCEOをはじめとする大手銀行のトップに電話をかけまくって確認した上で、「米国の景気は大丈夫だし、各銀行の資金も大丈夫」などという「意味不明な発表」をしたというニュースが嫌われています。

更に3番目は、無意味な「国境の壁」にこだわって「平気で政府閉鎖をやる」という政権の姿勢の問題があります。同時にマティス国防長官に逃げられ、ホワイトハウスの首席補佐官も決まらないという政権内のガタガタも嫌がられています。

こうした流れの背景にあるのは、勿論、お互いを傷つけるだけの「中国との通商戦争」です。この問題、年明けに出口は見つかるのか、アメリカの市場は怯えていると言っても過言ではないと思います。つまり、徐々にではありますが、トランプの株安というのが加速しているのです。一部には「暗黒のクリスマスイブ」という言い方さえされており、「年末休暇後の市場を先取りしたもの」(CNBCのジム・クレマー)などという不吉なコメントも飛び交っているのが現状です。

さて、アメリカがそんな具合である一方で、相手方の中国ですが、不正の摘発をやっているのは良いことだと思います。また、不正摘発に加えて、公営企業のリストラや、不良化した過剰インフラの放棄など、権力を集中させることで、思い切った「過去への決別」をやっているのも他に方法はないとも言えます。

ですが、それでも中国には過剰な生産設備がウジャウジャあります。また、高度な知的産業に転換できない労働力もあります。そんな中で、民間ベースではまだまだ設備と人のリストラが必要です。その痛みと、トランプの貿易戦争が「相討ちになった場合の出血」が重なった場合に、経済がハードランディングになる可能性はあると思います。

経済がボロボロのロシアは、そもそも経済規模が小さいですから無視できるにしても、欧州は非常に問題です。例えば、英国のEU撤退で英国の景気が思い切りダメになる可能性はありますし、フランスもドイツも経済には爆弾を抱えているようなものです。仮にトランプがイランとの間で、軍事紛争を含む過激な行動を始めるようですと、よりイランに近い欧州の経済社会は余計にガタガタする可能性もあります。

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