「株価急落」などまだ甘い。あえて年末にする近い未来の怖い話

 

1つは、「国内の非効率な紙と日本語と時間を消費するだけの事務仕事コスト」は円高になれば、ドル換算すると「誰もが支えられなくなる」思われます。ということは、円高になれば必然的にメスが入ると思います。これをラストチャンスだと思って、否が応でも生産性、本物の生産性を実現しなくてはならなくなります。

2つ目は、強い円を使って特に若者を留学させるということが考えられます。その際に「単位は取ってこなくていい」という「飛び立てないジャパン」などというバカバカしい留学制度ではなく、海外で真剣勝負をする若者をどんどん送り出し、今度という今度は戻って来た人材を「ちゃんと活用する」ということが考えられます。

3つ目は、過去の失敗は過去として、今度こそ強い円を使って「日本経済にプラスになるM&A」をやって、技術力を補完していくということが必要です。

4番目としては、日本円が強ければそこで稼ごうということで、国際市場から優秀な人材が入ってくるわけです。その流れの中で、ソフトウェアとか金融を、今からでも遅くないので、アジアのリーダー格から落ちないようにテコ入れしていくということは考えられます。

5番目は、円高トレンドが続けば、ドル建ての投資を呼び込めるわけです。つまり、本当の意味で日本株は買われて、日本に資金が流入してくる可能性は出て来ます。

いずれにしても、アベノミクスの出口戦略というのは、そのような産業構造の問題、日本経済を巡る大局観の問題として取り組んでいくことが求められます。

難しい課題ですが、年末年始の宿題として、皆さまの多角的な検討をお願いしたいと思います。

image by: Shutterstock.com

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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