つまり、経済ということで言えば、この年末年始、つまり2018年から2019年にかけての状況というのは、非常に厳しいし、先行きということでは極めて不透明だということができます。
では、日本経済もこれを受けてマズい状況に陥るのかというと、確かにその危険は覚悟しなくてはなりません。では、日本経済もマズいのであれば、円安で安定するのかというと、そこが問題です。
2008年のリーマンショックの際がそうであったように、このボロボロの日本経済も「世界中がもっとボロボロ」である中では、比較優位に立ってしまうという可能性があるのです。
その理由としては、「国家債務は巨大でも、個人金融資産でまだ相当部分がチャラにできている」「消費税率が8%から10%と他国よりは低いのでまだまだ取れる」という中では、日本の経済財政というのは「他よりははるかにマシ」に見えてしまうからです。
更に言えば、日本経済の地盤沈下のおかげで世界の通貨市場に占める日本円の地位は縮小しています。
ということは、2019年に世界経済が大きく崩れていく場合には、日本は比較優位ということから、自分たちでは全く実感できなくても、世界が勝手に「まぶしく」思ってしまうということがあり得ます。その上で、ドル安やユーロ安の圧力が、一気に円に来て「円高」に振れてしまうという可能性があります。
アベノミクスは、自分たちで慎重に出口を模索するのではなく、世界経済から強くプッシュされる格好で、出口へと押し出されてしまう、そのような可能性を感じます。
その場合ですが、急速な円高で「輸出は不振」「海外の利益は円建てでは圧縮される」「訪日外国人が激減し、インバウンド消費が不振に」「せっかくの原油安が円高で帳消しに」というような現象が起きるのは避けられません。
そこで必要なのは、焦らずに大局観に立って、次のようなことを進める姿勢です。