東京オリンピック便乗予算を許すな。会計検査院という「目付役」

 

会計という言葉で過小評価?

ただ会計検査院は他の省庁に比べ「会計」という言葉がついており、おカネの出し入れをみるといったニュアンスが強く、家庭や企業の金銭の支出入を帳簿につける概念を思い浮かべ勝ちだ。しかし、国の会計検査院は単なるおカネの出し入れを帳簿につけることではなく、国の財政が適正に効率的に使用されているかどうかを監視することに目を光らせている監視機関なのだ。

「会計」という言葉のせいで、検査院が任じている大きな役割が国民から過小評価されてきたのではないかと危惧される。本来なら会計検査院というより“財務検査・監視院”といった名称にし、国民の税金の使い方を正しく導く官庁と理解されるべきなのである。

もっとモノ申す機関に

これまでは地味な存在とみられてきたせいか、検査院の重要な指摘に国民はあまり注目してこなかった気がするし、会計検査院自体もあまり積極的に自らの役割をアピールしてこなかったようにも見受けられる。しかしここ10年位で検査院の指摘が大いに注目されるようになってきた。また各省庁、自治体なども検査院の指摘に神経をとがらせるようになってきたようだ。

高度成長時代は予算も豊富にあり、各省庁などのおカネのムダ使いに寛容な側面もあったが、少子高齢化、低成長の時代になる一方で、予算のあり方に国民の目も厳しくなってきた。時代の変化に合わせ、検査院も遠慮せずに大いに予算の執行や問題に大いに注文をつけ、国会と国民に警鐘を鳴らして欲しいと思う。そのことが、時代の変化に合わせた会計検査院の新たな、重要な役割なのではなかろうか。

image by: StreetVJ / Shutterstock.com

嶌信彦この著者の記事一覧

ジャーナリスト。1942年生。慶応大学経済学部卒業後、毎日新聞社入社。大蔵省、日銀、財界、ワシントン特派員等を経て1987年からフリー。TBSテレビ「ブロードキャスター」「NEWS23」「朝ズバッ!」等のコメンテーター、BS-TBS「グローバル・ナビフロント」のキャスターを約15年務め、TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」に27年間出演。現在は、TBSラジオ「嶌信彦 人生百景『志の人たち』」出演。近著にウズベキスタン抑留者のナボイ劇場建設秘話を描いたノンフィクション「伝説となった日本兵捕虜-ソ連四大劇場を建てた男たち-」を角川書店より発売。著書多数。NPO「日本ニュース時事能力検定協会」理事、NPO「日本ウズベキスタン協会」 会長。先進国サミットの取材は約30回に及ぶ。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」 』

【著者】 嶌信彦 【発行周期】 ほぼ 平日刊

print
いま読まれてます

  • 東京オリンピック便乗予算を許すな。会計検査院という「目付役」
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け