AIIB事件で中国を的認定
2015年3月に「AIIB事件」があった。イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、オーストラリア、イスラエル、韓国など、いわゆる「親米国家群」が、アメリカの制止を無視して、中国主導「AIIB」への参加を決めた。つまり、「親米諸国」ですら、「アメリカより中国をとった」。
この衝撃は大きく、以後オバマさんは、ひどく反中になりました。オバマさんは、ロシアとプチ和解し、シリア、ウクライナ、イラン問題を沈静化させた。そして、中国との戦いに、エネルギーを集中しはじめた。それで、15年、16年、中国経済はひどい状況になってきた。
ところが、トランプさんが大統領になった17年はどうだったのか?これは、北朝鮮が暴れたおかげで「休戦状態」だった。それで中国経済も元気を取り戻した。唯一信頼できる貿易統計は?
中国税関総署が12日発表した2017年通年の貿易統計(ドルベース)によると、輸出は前年比8%増の2兆2,634億ドル(約250兆円)、輸入は同16%増の1兆8,409億ドルだった。輸出、輸入ともに増加するのは14年以来3年ぶり。
(日経新聞2018年1月12日)
こう見ると、2017年の中国経済は、よかったのでしょう。18年通年ではどうだったのでしょうか?
18年通年の中国の輸出は全体では9.9%増と7年ぶりの高い伸びを記録。輸入も15.8%増加した。
(ロイター 2019年1月14日)
こう見ると中国経済、通年では悪くなかったのでしょう。まとめるとこうなります。
- 2015年3月、AIIB事件で、米中覇権戦争が開始される
- 2015~16年、その影響で、中国経済は苦境に
- 2017年、トランプが大統領になり、中国と休戦
- 結果、2017年、2018年、中国経済は勢いを取り戻す
- 2018年後半、米中貿易戦争が覇権戦争に転化
- それで18年12月、中国は輸出入とも減少に転じる
こうなります。
今後はどうなっていくのでしょうか?トランプと習は昨年12月、「3か月の休戦」で合意しました。それで3月まであまり動きはないでしょう。しかし、アメリカ側に中国と和解する気はなさそうで、もっと悪くなっていく可能性が高いでしょう。去年から警告しつづけていますが、危機に備えましょう。
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