一方で、文系の方は、前思春期の子供たちに何を与えるかは、慎重にいくべきです。大人向けのエッセイや論文を読ませて、パズルのように読解をさせるような国語問題は虐待なので止めさせて、少年少女文学の長いものを読ませてレスポンスを書かせるとか(勿論、批判大歓迎にしましょう。大人にヨイショさせるだけの感想文ではダメです)、語彙と漢字だけは強めに入れるとか、文系の方は無理をしないことにしたらいいと思います。
社会科についても、中二病の前なら余計な価値判断しないから、難しい時事問題もドンドン入れるみたいな傾向がありますが、これも不要だし、無駄だし、虐待だと思います。国連や世界平和、あるいは環境の話を強制的に入れても、むしろ苦痛に思う層が後で中二病にかかって別方向に逃走されても困りますし、あえて受験科目にしなくてもいいのではとも思います。
いやいやメカニカルに記憶させる能力は大事という意見もあるかもしれませんが、2030年代に社会に出る若者にベルトコンベアの前に座らせるわけでもないし、時代錯誤もいいところだと思います。
後は英語で、勝手に各校が入試に加えつつあるようですが、一部にはお粗末な翻訳文法メソッドというオワコンをやっているのは気に入りません。こちらも長めの少年少女小説がダイレクトに読み流せるとか、適度に知的な要素の入ったアニメとかジュニア向けのドラマとか見せて聞き取りと理解を問うとか、子供らしいナチュラルなチャッティングができるかを問うとか、もっとコミュニカティブなアプローチで真面目にやってほしいと思います。
いずれにしても、前思春期だから弊害がないので「無意味なことで脳の筋トレ」させて、脳の腕立て伏せ能力を競わせるというのは「壮大な無駄」です。一刻も早くヤメていただきたいです。
もう一つは、範囲だけでなく、難問奇問が足りないという問題です。本当の「地頭の強さ」とか「創造性」あるいは「柔軟な思考力」を試したいのなら「塾での訓練で何とかなる」レベルの問題ではダメです。つまり「類似の問題の解法を知っているという記憶と反復のスキル」で通ってきてしまうからです。
そうではなくて、「全く新しい発想をしないと解けない問題」に取り組んで解決への道筋を探るスキルを試す問題でなくてはなりません。そうした努力が大変であるのなら、トップ10校ぐらいで問題を共通化して、難問を共同開発するぐらいやるべきです。