2011年に行われた薬物政策国際委員会(世界の元首脳や知識人による)では、「薬物を使った人を刑務所に収容するのではなく、治療や福祉的なサービスにつなげることが必要」と宣言。2014年には、WHOも「薬物犯罪は非犯罪化し、治療すべき」と訴えています。つまり、世界は既に厳罰化はおろか「非犯罪化」へと進んでいるのです。
何でも世界=正しい、とは限らないし、日本とあまりにかけ離れていてリアリティが持てないかもしれません。しかしながら、世界が脱厳罰化、非犯罪化に、向かっている背景には薬物犯罪を取り締まれば取り締まるほど、闇ルートのマフィアが跋扈するようになり、薬物依存者が増加し、過剰摂取で死ぬ人が増えた経験に基づいています。
さらに、薬物犯罪に限らず、殺人などの凶悪犯罪でも「厳罰より治療」「管理より自由」「作業より教育」にプライオリティをおいた政策が再犯を低下させるエビデンスが蓄積されているのです。
とりわけ北欧では受刑者たちに、刑務所内で勉強する自由、料理する自由、塀の外に発信する自由などを与えることで、再犯率を低下させてきました。塀がないことで知られるノルウェーの刑務所の再犯率は世界最低の20%です。
「夜と霧」の著者で医師のV.E.フランクルは、「ごく一部の人間を除いて、どんなに暴君でも一筋の優しさと温もりをもっている人だった」と、ナチスの収容所での経験を語りました。
贖罪の気持ちが芽生えるのは、厳しさか温もりか?
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