役に立つか立たないか、そうした有用性の物差しだけで見たならば、何の役にも立たなかった生涯です。しかし、人は死んでも、何度も生まれ変わってくる「生き通しの魂」だと聞きます。色々な時代に、様々な境涯で生まれ、多くの経験を得るために生まれてくる。そうならば、どんな人生にも意味はあります
障がい者として生まれ、不自由な人生の中で、感謝の心を学び、愛とは何か、感謝とは何か、それを家族や周囲の多くの人々に学びとして与えた人生。どんな人生にも意味はあります。笑顔と「ありがとう」の感謝の心。それしか兄にはできませんでしたが、それでも多くの仕事を、この地上で成し遂げたと思います。
少なくとも我が家族は、兄がいなかったら、鼻持ちならない、そんな人間ばかりだったでしょう。ある意味、身を捨てての生涯、愛の生涯を、障がい者の方々は担っているのでしょう。
自分には何もできない、そう思う人も多いかもしれません。しかし、笑顔は浮かべられます。ありがとうと感謝することも可能です。誰であっても愛に生きることは可能なのです。それを身を挺して示す魂たちが、不自由な肉体に宿って、たった今も奮戦している。そんな風に思っているのです。
こしがやじろう
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