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非核化は議論せず?2度目の米朝首脳会談は単なる「化かし合い」

日本のマスコミは、2月27日からハノイで開催される米朝首脳会談に関する報道に熱心ですが、そのように熱を上げているのは、韓国とワシントン周辺だけだと、メルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』の著者で、北朝鮮研究の第一人者の宮塚利雄さんは指摘します。宮塚さんは、大きな成果が期待できない今回の会談よりも、その陰で進行している韓国国内での分断の気配に注目しているようです。

核ミサイル問題はどこかへ消え話題は来週の米朝会談一色

北朝鮮をめぐる話と言えば、北朝鮮の人権問題や食糧不足の問題、それに核ミサイル開発の話が主であったが、今はそのようなことはまったく関心がないのか、2月27日からベトナムのハノイで開催される2回目の米朝首脳会談である。

昨年末のころは金正恩が韓国に年内にでも訪問するのではないか、もし実現したら、文在寅が北朝鮮を訪問したときには10万人の平壌市民が出迎えたというが、ソウルでもそのような人数を集めることができるのか、また、文在寅が行ったときには韓国の太極旗は振られていなかったが、従北政権の文在寅は太極旗ではなく「インゴンギ(人共旗)」を振るのではないか、などと色々な無責任な、野次馬話がまことしやかに交わされていた。

年が明け、「米朝首脳会談が行われそうだ」というは話に代わってからは、今度は「主催地がどこになるか?」ということが話題となり、1回目の会談ですっかり自信をつけた金正恩が、「敵地アメリカの首都ワシントンに行くのではないか?」という突拍子もない話も出たが、北朝鮮のお寒い空の乗り物事情を考えると、このようなことは絶対にありえない。

結果、ベトナムに決まると、今度は会談場は「ダナン」だと先走り、ダナンがいかに2回目の会談場としてふさわしいかということを、各国のマスコミが報じ始めた。しかし、最終的に会談場が「ハノイ」に決まると、今度はなぜハノイか、ということをしたり顔で報じ始めた。

伝えるマスコミもいい加減ならば、今度は安倍首相がトランプ大統領をノーベル平和賞受賞候補に推薦したとかという場外のことが話題となっている。ノーベル平和賞が他のノーベル賞と比べて「いかがなものか」ということを論じるつもりはないが、要するに「米朝会談の実現・実行」などということは、しょせん、トランプと金正恩の「化かし合い」の会談であり、韓国の文在寅が茶坊主よろしく振舞っただけのことである(そういえば、韓国でも一時文在寅にノーベル平和賞を、という声が上がったこともあったが)。

肝心の「非核化」についてトランプは「急がず、時間を気にしない」というようなことを言っているし、金正恩政権は何とかして「一部でもいいから制裁解除を実現するのが目的」というようなことを、駐イギリス北朝鮮大使館の公使だった太永浩氏がソウル市内のセミナーで話したと言うことが今朝のテレビが伝えていた。

「おいぼれ狐野郎」と「リトルロケットマン」の化かし合いの会談に、かくも大げさに熱を上げるのは日本と韓国ぐらいか。アメリカは会談当事国だが、ワシントン辺りの一部の人間たちだけが騒いでいるだけで、北朝鮮の人民は最初から「蚊帳の外」の話であり、今はそれこそ「寒さ対策」に追われているのが実情だ。

韓国の国防白書から「北朝鮮は敵」の記述が消え、韓国の小学生たちの北朝鮮に対する、かつての「北朝鮮=悪」の認識も、それこそ画期的に変わったとのこと。

ソウルに行っていつものとおり、太極旗・星条旗グループから今度は「退役軍人(それも将星たちが中心)の集会が開かれた」とか、江華島に行ったときには数日前に退役の海兵隊の将星たちのデモがあったと教えてくれた。

文在寅政権は決して安泰ではない」、かつての「光州事件の再考察が始まった」とか、韓国は北朝鮮との国土分断以上に「国内分断の危機にさらされている」。(宮塚コリア研究所代表 宮塚利雄)

image by: Dan Scavino Jr. [Public domain], via Wikimedia Commons

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元山梨学院大学教授の宮塚利雄が、甲府に立ち上げた宮塚コリア研究所から送るメールマガジンです。北朝鮮情勢を中心にアジア全般を含めた情勢分析を独特の切り口で披露します。また朝鮮半島と日本の関わりや話題についてもゼミ、そして雑感もふくめ展開していきます。テレビなどのメディアでは決して話せないマル秘情報もお届けします。長年の研究対象である焼肉やパチンコだけではなく、ディープな在日朝鮮・韓国社会についての見識や朝鮮総連と民団のイロハなどについても語ります。

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