中国が「一帯一路」に作ったタックスヘイブンに群がる富裕層たち

 

これを見て中国の税務当局も動き出し、翌6月初旬から3か月にわたって范さんのSNSの更新が止まり、「消息不明」ということで騒ぎになっていました。ネットでは、「海外逃亡したのではないか?」「税務当局の取り調べを受けているのではないか?」と噂されましたが、結局、税務当局の取り調べを受けていたわけです。

「微博」で指摘された新作映画のギャラ自体に関する脱税額は1億円ちょっとだったのですが、他の部分の脱税が恐ろしく巨額でした。おそらく、中国税務当局は「微博」での告発を受けて洗いざらい范さんの収入を調べ直したのでしょう。その結果、総額8億8400万元(約146億円)という巨大な追徴税額となったわけです。

また范さんも、この莫大な収入はただ隠していただけじゃなく、当初は政治家などとのコネクションを持ち、税務当局から見逃されていたものと思われます。これだけの巨額な資産が、普通に見逃されるというのは考えにくいところですので。が、近年、中国は富裕層の脱税について社会的な批判が厳しくなっており、また范さんの場合は、ネットで証拠写真まで公開されていましたので、税務当局も本腰を入れて調査せざるを得なかったのでしょう。

まあ、ここまでは、国際的な女優の巨額脱税事件ということ話なのですが、今の中国の場合、ここで話は終わらないのです。中国の税務当局は、映画業界に対し「年末までに自ら申告漏れを届け出た場合は行政処罰を免除する」と通告しています。つまりは、映画業界で脱税が横行しているということは、中国国内では半ば公然のことだったのです。

しかも、芸能関係者の中には、巧みな逃税方法を用いている者もいるようなのです。范氷氷さんのケースのような、二重契約書をつくっているような場合は、当然、明白に黒ということですが、中には白黒がはっきりしないような方法で税金を逃れている芸能関係者も多数いるようなのです。

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