中国が「一帯一路」に作ったタックスヘイブンに群がる富裕層たち

 

習近平は、「汚職追放」を強く主張してきていたので、中国国民の反発もかなり大きいものがありました。が、中国政府は、非常に中国らしいやり方で、その反発を防ごうとしています。中国では、パナマ文書に対して厳しい情報統制が敷かれており、ネットでは「パナマ文書」関係の文言は検索できないようになっているのです。

習近平の他にも、第一副首相の張高麗(チャン・カオリ-)、政治局常務委員の劉雲山(リュウ・ウンシャン)らも、親族がタックスヘイブンに会社を持つなどしていたことが発覚しています。引退した江沢民など共産党の旧幹部たちの名前も見えます。

共産党のエリートや、中国人の富裕層にとって、タックスヘイブンを利用することは、日常化していると見られます。パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の最大の顧客は中国であり、実に顧客の3分の1は、中国、香港の居住者だったのです。

中国は、現在、世界第2位の経済大国なので、タックスヘイブンを利用する富裕層が増えたという見方もできます。しかし、それにしても、中国人のタックスヘイブン利用は多すぎます。中国人のタックスヘイブンの利用が多いというのは、なぜでしょうか?おそらく、中国人の富裕層は、日本人以上に資産保持の観念が強いのだと思われます。

中国の政情は、まだまだ不安定です。だから、富裕層はなるべくお金を安全な場所に置いておきたいということだと考えられるのです。中国経済は、一応、自由化したとはいえ、未だに共産主義の看板を掲げています。過去には、文化大革命という富裕層が大ダメージを受けた出来事もありました。

現在の中国人の多くは、文化大革命で、身内の誰かを失ったり捕縛された経験を持っています。「今、持っている資産をなるべく隠しておきたい」。そういう中国人富裕層にとって、タックスヘイブンは格好の隠し場所になっているのです。

image by: holwichaikawee, shutterstock.com

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