中国が「一帯一路」に作ったタックスヘイブンに群がる富裕層たち

 

「一帯一路」のためのタックスヘイブン

現在中国は、「一帯一路」という世界的な規模の経済プロジェクトを推し進めています。ご存知の方も多いかと思いますが「一帯一路」構想とは、中国西部から中央アジア、ヨーロッパにつながる地域を「シルクロード経済ベルト」と位置づけ、ここに大規模なインフラ整備を行い、巨大な物流、生産地域にしようというものです。アジアやヨーロッパの経済活性化につながるとして、世界中から注目されています。

そして、この一帯一路構想の財政面を支えるものとして、中国はAIIB(アジア・インフラ投資銀行)をつくりました。AIIBは、1000億ドルを出資金として集め、それをアジアやヨーロッパ各地の開発に投資するという目的を持っています。AIIBは、中国版マーシャル・プランとも呼ばれています。

中国は出資金のうち、30%程度を負担します。もちろん、それは、出資国の中では最大です。つまりは、AIIBは、「中国が金をだし、その金を開発投資に使おう」という趣旨を持っているのです。他の国から見れば、中国の出した金を安く借りて開発に使える機会が生じるわけです。だから、世界中の国がこぞって参加しています。イギリスはいち早く参加を表明し、ドイツ、フランスなどの西欧諸国も次々に加盟し、韓国、オーストラリアも参加しています。

日本とアメリカは、このAIIBに今のところ参加を見送っています。アジア地域においては、日本とアメリカが長く、インフラ投資支援などを行なってきました。AIIBと同じような趣旨を持つ、アジア開発銀行は、半世紀前の1966年に設立されています。出資比率は日本が15.7%で筆頭であり、アメリカが第2位の15.6%です。このアジア開発銀行は、アジアのインフラ投資にこれまで随分、貢献してきたという自負もあり、日本とアメリカは今更、中国が中心となる開発銀行に、参加をしたくないということです。

一方、中国としては、日本主導ではない、中国主導のアジア開発銀行をつくりたい、と考えたのでしょう。もちろん中国としては、一帯一路構想は絶対に成功させなければならないわけです。だから、世界の国々の参加を促すことはもちろんですが、中国の民間の資本も一帯一路に集中させなければなりません。

そこで中国は「一帯一路」の最前線の地域に、非常に税金が安くて条件もいいタックスヘイブンをつくったのです。

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