日本が終わる。いじめを苦に自殺した生徒を暴言で貶める教師たち

 

ソーシャルワークでは、相談者の抱える困難や問題は、どれだけ似たようなものであっても、人それぞれの問題であり「同じ問題は存在しない」とする考え方があります。この原則において、相談者のラベリング(いわゆる人格や環境の決めつけ)やカテゴライズ(同様の問題をまとめ分類してしまい、同様の解決手法を執ろうとする事)は厳禁です。

「教育における価値中立」という概念が第三者員会にもたらすものは、政治的中立や宗教的中立などの価値観に対して中立の立場に立つという、そもそもの意味と異なり、意外にも、「判断しない」、「加害者・被害者のどちらの味方にもならない」という消極的な結果になりがちです。

ただし、真摯に問題に向き合い、事実を明らかにし、学校や加害者の責任を認める第三者委員会も増えていることを申し添えます。実際、今回の再調査の最終報告書を受けて、被害生徒のご遺族は、「ようやく声が届いた」と報告書を評価しています。

昨今、第三者委員会の報告を、まるで裁判所の決定のように報道する向きもありますが、そこまでの権限はありません。マスコミの報道にも問題があるように思います。実は、犯罪では、司法などで行われる客観証拠中心主義でないと結論は出させません。テレビドラマ『トレース 科捜研の男』のように、犯人が言うウソを見抜き、真実を明らかにして、被害者の人権を守るドラマもありますが、「いじめは犯罪」であっても、第三者委員会は逮捕したり、判決を出すことなどできないことは言うまでもありません。

第三者委員会が、被害者側の「何があったのか知りたい」という切実な思いを理解して、丁寧に事実関係を調査し、いじめがあったのかなかったのかを明確にし、更には、なぜ、いじめに至ったのか、何が原因で「重大事態」になったのか、を解明することが、被害者の心を癒し、さらに、同じようないじめの再発を防止することにもなります。

教育ができることは、善の教育であり、道徳であり、明日の日本、未来の地球を築き上げる人材を育成することだと思います。そのための人間学であることを知らねばなりません

前名古屋市教育委員会 子ども応援委員会 子ども応援委員
現福祉系大学 講師 堀田利恵

image by: Shutterstock.com

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