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繋がってない携帯で長電話?在米日本人が明かす「NYあるある」

ニューヨークに住んでまもなく20年になる米国の邦字紙『NEW YORK ビズ!』CEOの高橋克明さんが、自身が発行するメルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』で、ニューヨークで暮らす人々にありがちな行動パターンを教えてくれました。「ホームから身を乗り出して、念力を使う」、「つながってない電話で長々と会話」などなど、今回は6つの「ニューヨークあるある!」を紹介してくれます。

ニューヨークあるある!

そろそろ20年目を迎えるニューヨーク生活。僕なりに、自然と「これをやったら、あなたもニューヨーカー」な案件をまとめてみたいと思います。良い意味でも、悪い意味でも。たぶん、悪い意味の方が僅差で強いかも。

1)タクシーを歩きながら捕まえる

ニューヨーカーが、その場に大人しく立ち止まって、手をあげることは滅多にありません。手をあげながら、進行方向に歩きつつ、タクシーを捕まえます。いつ来るともしれないタクシーを。

決して、距離を稼いで運賃を少しでも安くしようとしているわけではありません。世界一せっかちな人種は、その場で大人しく待っていられない。まず、時間帯によってはマンハッタン全土、タクシーは捕まらないモノと思った方がいい。全ニューヨーカーの争奪戦です。なので、捕まえられなければ、サイアク、目的地まで歩く

で、あれば、歩きながらの方が効率がいい。ただでさえ捕まらないタクシー、ライバル(他の探している人)も少なくないので、その場で立ち止まって手をあげていたら、隣の人に、前に出られて横取りされます。なにより、日本と違ってタクシー自体に乗車拒否される可能性もなくはない。タクシーは、待つモノ、じゃなく、捕まえに行くモノ。そう思えたら、すでにニューヨーカーです。

2)平日、ほぼスッピン

日本からインターン生が面接に来ると「わぁ、これ以上なく、“ニッポン”だなぁ」と思わされます。みんなリクルートスーツで身なりがキレイ。面接が終わったあとに、きったない、うちの社員連中を見ます。職業柄、という点もあると思いますが、メンバー全員、ほぼスッピン。営業だけが、申し訳程度に塗ってます。髪を輪ゴムで留めたデザイナーがドーナッツを食べながら「どうせ4ヶ月ですよ」と嘯きます。半年も経たないうちに、さっきのポニーテールにキレイにまとめたインターン生も、どうせ、スッピンになりますよ、の意味です。

確かに、この街は、世界各国から独自の文化、ファッションを背負ってきた人の集まりなので、日本のように、広告代理店が決めたトレンドを一律追わなくていい多様性が存在します。街に出れば、ターバン巻いたインド人も、目付近しか見えない民族衣装をまとった中東の方もいるので、なにが流行で、なにが流行遅れか、いちいち構う必要はない。みんなが好き勝手な格好をしています。当然、化粧をしていなくても、誰も注意しない。この街に長く滞在すればするほど、スッピン率は高くなります。(その分、ニューヨーカー、フォーマルなパーティーでは、誰よりもおしゃれにスタイリッシュにキメるけど)

3)ホームから身を乗り出して、念力を使う

「ニューヨークは地下鉄が24時間で便利でいいですね」―。たまに日本の人に言われます。確かに、たまの日本出張、ふと、忘れかけている「終電」という概念を思い起こすことがあります。「そーいえば、24時間営業じゃなかったな」と。(でも、その分、日本には、漫画喫茶とか、カプセルホテルとか、便利なモノがあふれてるけどね)

だからといって、MTA(ニューヨーク地下鉄)が24時間で便利かと言うと、ミッドタウンのど真ん中でも、真夜中の地下鉄に乗ろうとは思いません。危険だから、じゃないです。「来ないから」。1時間や、1時間半に1本とか、そんな割合なので、汚く、臭く、暗く、安全でもない、地下鉄のホームで、真夜中、来るか来ないかわからない電車を待つことは、なるべく避けたい。日本のように時刻表があるわけでもない(いや、厳密にはあるらしいけれど、誰も信用してないし、見ている人もいない)

真夜中でなくても、通勤ラッシュ時以外のニューヨークの地下鉄は、気まぐれです。来たり、来なかったり、来なかったり、やっぱり、来たり。次の電車がいつ来るか、という電光掲示板がある駅の方が少ない。基本、運を天に任せて、いつ来るかわからない電車をみんな待ってます。

その上、世界一せっかちなニューヨーカー、待つか、あきらめて地上に上がって他の交通手段をとるかしかないのだけれど、とりあえず、イライラしながら、電車が来る方向を睨みます。プラットホームから身を乗り出して。真っ暗な電車が来るであろう方向を。まるで、念力で、来ない電車を来させるかのように。

全員が、ホームから身を乗りだして、睨みを聞かせる光景は、ちょっと他の街では見ないかもしれません。

4)つながってない電話で長々と会話する

日本だと、「あなたの為に祈らせてください」、でしょうか。駅前で、捕まります。ニューヨークでは企業アンケートや、捕鯨反対運動や、NY緑地化計画や環境問題について、道端で捕まることが少なくありません。クリップボード持ってる、緑や黄色のTシャツを来た若い子達が、くっつけたような笑顔で「ハーイ♪ハウ・アー・ユー」と進行方向を塞ぎながら、話しかけてきます。

そんなとき、ケータイが鳴ったフリをして、今、話し中を演じます。たぶん、アンケーターたちも気づいてる。その電話が繋がっていないことを。そして、ケータイで話しをしてるフリをしてる方も気づいている。気づかれていることを。電話がつながっていないことがバレてることも、また気づいている。お互い、もちろんわかってる。

つまりはプロレス、です。だいたい、こんなベストタイミングで、そんな都合よく電話がかかってくるなんてことはそうそう、ない。この一連の動作は、言ってみれば「お断り」のポーズ。大人のニューヨーカーの流儀。はたから見てるとかなりおもしろいけれど。4人~5人のアンケーターの中を、くぐり抜ける「たった今、電話が鳴った」多くの人たち

5)ありえないくらいカジュアルな格好で歩く人々

ニューヨーカーは体を動かすことが大好き。エクセサイズとトレーニング中毒。街中のいたるところに、ジムやヨガスタジオやピラティス教室の看板を目にします。脅迫的なまでに健康重視のその姿勢は、健康のため、というより、むしろビジネスシーンで100%のパフォーマンスを出すための仕事の一環。とにかく、みんながみんな、そのあたりの運動施設に通っています。

至る場所に、ジムなり、スタジオがあるということは、つまりは「ご近所」。みんなの自宅の近くに必ず、これらのジムやスタジオがあります。汗を流した、セッションが終わり、みんなそのままの格好で、帰ります。なぜなら、家がすぐそばだから。

さすがに電車やバスに乗って帰宅する人は、着替えると思いますが、Tシャツやランニング、短パンやレギンスだけで歩く、多くの人は、歩いていける距離に自宅があるから。日本だとちょっと見かけないと思います。

弊社の社員も、編集部真向かいの極真空手の道場に通っています。僕が極真空手USAのプロデューサーをやらせてもらっている関係で、弊社社員は月の会費が無料。女性社員がエクセサイズの為に通っているのですが、歩いて2分の距離なので、オフィスで空手着に着替えて、サンダルを履いて、そのまま、その格好で行きます。

確かに2分の距離でも、道中は、天下のマジソンアベニュー。何十人にも目撃されているはずです。なにより編集部は11階。エレベーターで1階に降りるまでに何人もエレベーター内で一緒になるはずです。さすがに「恥ずかしくないのか?」と聞いても、誰にも指摘されたことがないとのこと。今では当たり前の光景になりました。

ある日、アベニューに面している社長室から階下を見下ろすと、大通りに、空手着、裸足、サンダルのアジア人女性二人組。それはそれで異様な光景ではあったけれど、でも、それなりに、この街では馴染むもんなんです。

6)でっかいネズミに驚かない

ニューヨークのいたる所で目にする、モグラ大のネズミ。日本では見ることがない巨大げっ歯類。最初に目にした時は「これ、本当に、ネズミ?」と目を疑いました。それくらいデカイ。場合によってはモグラよりもデカイです。特に夜道、1階に、飲食店がテナントとして入っているビルに面した路上では、まず100%目にします。

いちいち驚いてると、ニューヨークではやっていけません。この間、口論してる30代くらいのカップルの足元を、2匹が何往復もしていました。当然、その大きさからふたりとも気づかないわけはないのですが、口論に夢中で、ネズミ、無視。これ以上ないほどのニューヨークな光景でした。

まだまだありますが、今回はこのへんで。

image by: Maridav, shutterstock.com

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全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

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【著者】 高橋克明 【月額】 初月無料!月額586円(税込) 【発行周期】 毎週水曜日

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