阿曽山大噴火が裁判所で見た、傷害で捕まりクスリで起訴された男

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裁判傍聴芸人として名高い阿曽山大噴火による連載『裁判妙ちきりん』第31回!
法廷でしか味わう事のできない裁判のリアルをお届けします!
罪名 覚せい剤取締法違反
被告人 21歳会社役員の男性
事件は去年の9月中旬~9月25日の間。

東京都内またはその周辺で、被告人がフェニルメチルアミノプロパン塩酸塩若干量を含む水溶液を自己の身体に注射器で摂取したという内容。

検察官の冒頭陳述によると、被告人は高校を中退した後、アパレルの会社を経営していたという。犯行時は交際していた彼女と同棲していたとのこと。

9月25日午後4時56分。

被告人は傷害事件を起こしたとして逮捕されたという。

翌日、検尿し検査したところ、陽性反応が出たため、覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕したというのが事件の流れ。

ちなみに、傷害のほうは詳細が述べられなかった上に不起訴なので、何があったのかはわからずです。

調べに対し被告人は

「3~4センチのガンコロの塊の一部を使った。覚せい剤をはじめて使ったのは14歳のとき。9月中旬~25日の間は新宿と池袋にしか行ってないので、都内にいたと思う。覚せい剤は彼女に注射で血管に打ってもらった」

と供述しているそうです。

ガンコロって一般的に使われない言葉ですよね。薬物のニュースでも耳にしないし。

知らない人ために簡単に説明しておくと(と言いつつ私ももちろん素人なのだが)、ガンコロは覚せい剤の結晶です。

それを砕いた物が粉状になって透明の袋に入ってるのはニュースや法廷などで見たことある人も多いでしょう。

粉状はユキネタなんて隠語で呼ばれることもあるんだけど、ガンコロは自分で砕かなきゃいけないわけでして。

個人的にはガンコロって言い方をしていたり、所持していると初心者ではないのではという印象を抱いてしまいます。もちろん、被告人がどうなのかは別の話。

弁護人としては情状証人はなく、今後の監督を約束するといういとこのAさん(法廷では本名)の誓約書だけが証拠として提出されました。

そして、被告人質問。まずは弁護人から。

弁護人

「Bさん(彼女)と一緒に使ったんですね?」

被告人

「はい」

弁護人

「あなたから使おうと提案したんですか?」

被告人

「いや、Bさんからです」

弁護人

「ほかの人と使ったことは?」

被告人

「ないです」

違法薬物の仲間は彼女しかいなかったようです。

弁護人

「再販しないため、2度と覚せい剤に手を出さないための対策は?」

被告人

「治療のために病院に行ってるのと、今週中にダルクに行きます」

保釈されて病院にも行ってるし、薬物依存症リハビリ施設であるダルクにも連絡しているってことなんでしょう。やめる努力をしているとアピールです。

弁護人

「現在仕事は?」

被告人

「親戚のAさんとこの営業をしています」

弁護人

「Aさんって?」

被告人

「社長で私のいとこです」

誓約書を書いてくれたのも、監視監督できる時間が長いってことかもしれませんね。少なくとも仕事中は薬物に手を出さないよう注意できるわけだし、週に何度も顔を合わせるだろうし。

弁護人

「最後に何か言いたいことは?」

被告人

「二度と繰り返さないってことだけです」

今回の逮捕は大麻って話だから、この約束はまだ守られているようですね。

次は検察官から。

検察官

「初めての使用が19歳だと。それ以降は?」

被告人

「15歳で捕まっているので、ずっとないです」

継続的に使っていたわけじゃないと。

検察官

「Bさんとはどれくらいの頻度で使ってたの?」

被告人

「週に2~3回です」

それがどれくらい続いてたのかまでは訊かれなかったけれど、週の半分ですか。なかなかのペース。

検察官

「今はAさんの家にいるんですかね?」

被告人

「そうです」

最後は裁判官から。

裁判官

「Aさんのところにいると。今の住居、マンションのほうは?」

被告人

「退去予定です」

裁判官

「家賃いくらなんですか?」

被告人

「24万とか」

裁判官

「そんなに稼いでたの?」

被告人

「住み始めた去年2月頃は」

稼いでたから、不要な物を買えるとも言えますしね。

裁判官

「Bさんとは?」

被告人

「まったく連絡取ってないです」

裁判官

「今後についての話し合いは?」

被告人

「ないです」

裁判官

「自然消滅?」

被告人

「そうです」

他人の交際関係に口出しするつもりはないけど、覚せい剤を打ってくれるような仲の女性とは別れたほうが賢明な判断かもしれませんね。付き合いが続けば再犯の可能性がチラつくし。

裁判官

「Aさん以外、面会に来ました?」

被告人

「Cという唯一の友達が」

裁判官

「どんな話しましたか?」

被告人

「傷害も含めてですけど、なんでそんなことしてんだと」

しっかり叱ってくれる良い友達ですね。今回の事件でまた迷惑かけてるのかもしれないけど。

裁判官

「今、気をつけてることは何ですか?」

被告人

「今日一日、やらないってことです」

薬物の裁判でよく聞く言葉です。何ヶ月、何年やらないって目標を立てるんじゃなく、今日だけ、たった一日だけ覚せい剤をガマン。それを毎日続けるってヤツですね。故に、ちゃんと病院行って先生からアドバイス受けてるってことなんでしょう。

この後、検察官は、3~4cmの覚せい剤の結晶を多数回購入してることや両腕に注射跡があって親和度が高く、入手先を明らかにしていないことなどを踏まえて、懲役1年6ヶ月を求刑。

弁護人は、被告人が治療していること、初犯であることなど理由に寛大な処分をお願いしてました。

最終陳述で被告人が

「すみませんでした。以上です」

とシンプルに述べると、

裁判官

「じゃ、弁護人、即決で」

と、このまま判決の言い渡しです。

結果は、懲役1年6ヶ月執行猶予3年。

判決理由を読み終えると、説諭です。

裁判官

「やめていくことって大変ですよね。さっき言った通り、一日一日やらない日を重ねていってください。もし、またやったら誰が苦しむのか考えてください」

とアドバイスして閉廷でした。

裁判官の言う通り、誰が苦しみ悲しむのかって話だよな。AさんCさんだけじゃなく……。

──もし、この裁判がフィクションだったとして。
私は被告人の言葉に対して───
病院の先生の立場なら、今度は大麻かよって思うだろうなぁ。
ま、1月9日に実際に行われた裁判なのだが

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