呆れた読売の無関心。強制不妊救済法案を各紙はどう伝えたか?

 

まもなく判決が出るのに…

【東京】は3面に本記と解説記事「核心」。見出しから。 本記

  • 強制不妊一時金320万円
  • 請求額と開き 訴訟継続

「核心」

  • 「早期救済」被害者と隔たり
  • 国の責任 旧法の違憲性明記せず
  • 与野党、参院選への影響懸念

uttiiの眼

「本記」には、法案が規定する支給対象者は本人のみで、故人や遺族は対象外とすること、本人が手術に「同意」したとされるケースでも、当時の社会的風潮が影響したとして対象とすることが記されている。

しかし、2万5千人が手術を受けたとされるのに、記録上個人が特定できるのは3千人ほど。記録のない人については、「厚労省に夏ごろ設置される認定審査会で医師の所見や本人、家族の証言などを基に判断する」としていること。また都道府県に一時金請求の相談窓口を置き、支払い事務は独法の「福祉医療機構」が行うなど、いわば制度の細目についても書かれている。

「核心」は、被害者側と議連側とのやりとりのなかに、《朝日》《毎日》とはまた少々違った面を見せている。 弁護団はすでに昨年、法案前文の「反省とおわび」の主体を「国」とすること、旧法の違憲性を明記するなどの要望を伝えていたといい、それが全く反映されなかったことに不信感を持っているという。さらに、5月には仙台地裁が初の判断を下す可能性があり、「旧法の違憲性」を認める判決が出る可能性があって、「判決が出た直後に救済制度が確立される順序が望ましい」としていること。

議員側には、少々「黒い事情」もあり、与党ワーキングチームの幹部は「参院選までに法成立しないと、立場がない」という。旧法は議員立法による全会一致で成立したものであり、この問題は与野党ともに放置できない。参院選が近づくと共同歩調がとれなくなるので、「立法府としての意思を早く示す必要があった」と。

最後に政府関係者は「一時金額を不満とする追加提訴が相次ぐ恐れもあり、国会も政府も恥をかきかねない」と言っているらしい。

あとがき

以上、いかがでしたでしょうか。 この重大問題にベタ記事1つという《読売》の呆(ほう)けぶりが際立ちました。《朝日》と《東京》は、議員側の「闇」を描こうとしていますが、《毎日》は今回、与党ワーキングチームと議連で合意した法案の内容に即して、根底的な批判を加えています。参院選云々は大きな問題ではなく、議員の提案内容自体が、被害の甚大性に向き合っていないことが最大の問題だということです。

image by: Cris Foto / Shutterstock.com

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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