呆れた読売の無関心。強制不妊救済法案を各紙はどう伝えたか?

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3月14日、与党ワーキングチームと超党派議連により「強制不妊救済法」が合意に達しました。著しい人権侵害に対する救済措置の決定であり、読売を除く新聞各紙は、それぞれ大きく紙幅を割いて報じています。ジャーナリストの内田誠さんは、自身のメルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』で、各紙の言説を紹介し、決定した提案内容が「被害の甚大性に向き合っていない」と問題点を指摘。さらに、この重大問題にベタ記事1つという読売の「無関心ぶり」も伝えています。

強制不妊救済法成立を新聞各紙はどう報じたか

ラインナップ

◆1面トップの見出しから……。

《朝日》…「強制不妊救済法 成立へ」
《読売》…「海洋プラごみ排出源分析」
《毎日》…「強制不妊 一時金320万円に」
《東京》…「大手休めば中小激務」

◆解説面の見出しから……。

《朝日》…「強制不妊 真の救済遠く」
《読売》…「脱プラ 日本も本格化」
《毎日》…「『早期救済』心癒えず」
《東京》…「『早期救済』被害者と隔たり」

ハドル

《読売》以外の各紙は「強制不妊救済」で決まりですが、《読売》は「プラスチック」にご執心のようです。法律によって著しい人権侵害が続いていた、その被害者を少しでも救済するためには何をしなければならないのかという大問題なので、「強制不妊」で。少し変則的になるかもしれません。

基本的な報道内容

旧優生保護法下で障害のある人らに不妊手術が強制された問題で、与党ワーキングチームと超党派議連は、被害者救済法案の一本化に合意。前文に反省と「おわび」の言葉を明記し、被害者に支払う一時金は1人320万円とする。しかし各地で続く国家賠償請求訴訟への影響を避けるため、旧法の違憲性に触れず、謝罪の主体も「我々」と曖昧に。 厚労省によれば、被害を受けた人はおよそ2万5千人。存命者数は不明という。

障害者を見下す「一時金」の額

【朝日】は1面トップに2面の解説記事「時時刻刻」、14面社説に35面社会面まで。見出しから。

1面

  • 強制不妊救済法 成立へ
  • 一時金320万円 「おわび」明記
  • 被害者側 訴訟継続

2面

  • 強制不妊 真の救済遠く
  • 「おわび」主語あいまい
  • 一時金 被害者要求と溝
  • 「違憲性認め謝罪を」

14面

  • 優生手術救済 被害者は納得できない(社説)

35面

  • 苦しみ70年「国は謝って」
  • 強制不妊救済法 成立へ

uttiiの眼

《朝日》はこの問題に4紙中、最も大きな紙幅を割いている。 2面の「時時刻刻」は、この問題への対応で国会議員たちを動かす出発点となったのが、昨年1月、宮城県の60代女性による国家賠償請求訴訟で、旧優生保護法を「基本的人権を踏みにじるもので違憲」とし、救済制度を作ってこなかった国に責任があると訴えたことだったとする。超党派議連と与党ワーキングチームが作られ、救済法案が検討されることになったが、議員たちが気に掛けていたのは、各地に広がる訴訟への影響回避で、だからこそ、「おわび」では旧優生保護法の違憲性を認めず、主語も「国」や「国会」ではなく、「我々」と暈かしたものになったという。

《朝日》はハッキリとは書いていないが、もともと、障害者とその子孫を社会から“排除”するために作られた旧優生保護法。被害者たちが求める「救済」に対して、国会が取った行動は、やはり人々の違憲主張を排除するためであって、至極真っ当な要求、違憲性を認め、国あるいは国会の名によって謝罪せよとの求めを拒絶するためだったとしたらどうだろうか。障害者たちは、今度こそ、社会に受け入れられることを望んでいるのに、また再び、排除されることになる。耐え難いことであるに違いない。

思うに、事の本質は叙上の点にあり、一時金320万円というところに集中的に現れている。今回の金額は90年代にスウェーデンでの同様のケースで支払われた一時金を基準にしたというが、議員立法のハンセン病補償法では裁判所が命じた賠償額をベースに1人800万円から1400万円、全国7つの地裁で進行中の訴訟では最大3千万円余の請求額となっている。議員らは「早期救済」を錦の御旗に、金額については参考となる額が他にないとするが、320万円が既成事実となれば、逆に訴訟への悪影響があるかもしれない。それが「狙い」だとすれば、国会のやっていることは悪質極まりない

35面記事には、記者会見の様子と被害者たちの声が収められている。被害弁護団の新里宏二弁護士は「子どもを生み、育てるという決定権を侵害されているのに、一時金320万円という額は被害回復とならない」、「被害の重大性に向き合った補償額にすべきで、真の被害回復を強く求めたい」としている。

以下、一時金などに対する被害者の声として《朝日》が掲載しているものを並べてみよう。

  • 「臭いものにふたをするためか」
  • 「障害者を見下しているとしか思えない」
  • 「この金額で納得する人はいない。私のように裁判を起こす人は増えるかもしれない。」
  • 「私は60年間苦しめられてきた。国は悪かったことを認め、謝ってほしい」
  • 「(たとえ)問題が解決しても、死ぬまで心は傷ついている」
  • 「(強制不妊問題が)誰の責任か、ぼやかされている。取り返しの付かないことをしたのは政府や国会だとはっきりさせた上で謝ってもらいたい」
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