今からでも遅くない。東京オリンピック開催を考え直すべき理由

 

不透明な五輪使途のおカネ

一方、オリンピックの資金の使途についても、昨年10月に会計検査院から全容を明らかにするよう求められている。大会組織委員会と東京都が17年末に公表していた予算総額は約1兆3,500億円だったが、それ以外に競技場周辺の道路整備やセキュリティ対策、熱中症に関する普及啓発費など当初予定の約280億円に対し既に6,500億円も使われていた

このため総額は現時点で2兆8,255億円に上り、さらに森喜朗・元首相は「これをレガシーとして、日本が新しい分野に素晴らしい事業を展開できるなら、惜しい予算じゃないと僕は思う」と発言。今後もオリンピックの名の下に予算が積み上がっていく可能性も否定していない

なぜ秋の五輪にしなかったのか

さらに一番問題なのはオリンピック期間の設定だ。20年の東京オリンピックは、2020年7月24日から8月9日(パラリンピックは8月25日から9月6日)に行うことになっており、“真夏のオリンピックとなることが確実だ。東京都の昨年8月の同時期の気温を調べると大変な状況になっていることがわかる。8月9日の2週間前の都心では39.0度まで上昇、埼玉県熊谷市では史上最高の41.1度を記録し、気象庁では「命に危険を生ずる暑さが続き災害という認識だ」と健康管理を呼びかけた。この日全国9府県で13人が死亡、昨年7月に熱中症による搬送者は5万4,220人に上った。

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