今からでも遅くない。東京オリンピック開催を考え直すべき理由

 

31度以上は激しい運動中止のはず

20年の男子マラソンは8月9日の予定だが、参考までちなみに前回オリンピックが開催された2016年の8月9日の東京の気温は午前7時で27.7度、そして午前9時には33.5度で、1日通しての平均気温は31.9度なので、時間にかかわらず暑いのだ。日本体育協会のガイドラインでは、「31度以上は激しい運動は中止」「28度以上でも激しい運動は30分で休憩を取る」と指摘しているほどである。

外国人選手は棄権続出か

こうした猛暑の情報は外国人選手にも伝わっており棄権を考える選手も出ているという。いまやボストンマラソンで優勝すれば15万ドルの賞金が出て、日本人は新記録を出すと1億円の報奨金がもらえる時代に命をかける選手がどれだけ出てくるか、と思う。近年では2007年夏に大阪で世界陸上が開かれ、少しでも気温の上昇を避けるため午前7時のスタートとし、コースの数カ所ではドライミストを噴霧する対策が取られたが、男子マラソン85選手のうち28選手がリタイアしている。

オリンピックには世界中の人がやってくる。最近のインバウンド人気でオリンピック後は日本中を旅する人も多いだろうが、真夏の観光では折角の日本の観光人気も下がってしまう心配も出ている。真夏のオリンピックは英断をもって考え直すべきだろう。

(TSR情報 2019年4月8日)

※嶌は以前より酷暑のオリンピック開催に関する提言をしてまいりました。参考まで過去に書いたオリンピック関連のコラムならびにTBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」にてお話した内容をご紹介します。ご興味をお持ちの方は合わせて参照いただけると幸いです。

コラム

なぜ真夏の五輪か? 14.10.20 電気新聞

~真夏の東京五輪を変えよう~ 14.11.05 TSR情報

東京五輪後の日本の進路 どんな国をめざすのか 15.02.05 財界

寒々しい五輪風景 15.08.03 電気新聞

アスリート・ファーストのいかがわしさ 15.09.17 財界 

地に落ちた東京五輪評判 15.10.01 財界

真夏の東京五輪、見直すべき 18.02.17 Japan In-depth

五輪の日程変更を! 18.08.08 電気新聞

TBSラジオ 森本毅郎・スタンバイ 日本全国8時です

東京五輪の課題解決のヒントを過去の五輪から紐解く  16.08.24 

アスリートファーストは妥当か? 16.05.19 

オリンピックと政治、印象に残っている選手 15.12.01

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嶌信彦この著者の記事一覧

ジャーナリスト。1942年生。慶応大学経済学部卒業後、毎日新聞社入社。大蔵省、日銀、財界、ワシントン特派員等を経て1987年からフリー。TBSテレビ「ブロードキャスター」「NEWS23」「朝ズバッ!」等のコメンテーター、BS-TBS「グローバル・ナビフロント」のキャスターを約15年務め、TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」に27年間出演。現在は、TBSラジオ「嶌信彦 人生百景『志の人たち』」出演。近著にウズベキスタン抑留者のナボイ劇場建設秘話を描いたノンフィクション「伝説となった日本兵捕虜-ソ連四大劇場を建てた男たち-」を角川書店より発売。著書多数。NPO「日本ニュース時事能力検定協会」理事、NPO「日本ウズベキスタン協会」 会長。先進国サミットの取材は約30回に及ぶ。

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【著者】 嶌信彦 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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