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うっかり「違法派遣」になってませんか?会社が注意する4つの事

最近の労働市場の人手不足は深刻で、もはや「求人募集を出しても人が集まらない」という事態に及んでいる様です。このような状況にあっては、「労働者派遣制度の利用がおすすめだが注意も必要」とするのは、現役社労士の飯田弘和さん。飯田さんは今回、自身の無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』で、会社が労働者派遣制度を導入する際に把握すべき4つのポイントについて解説しています。

御社でも、労働者派遣の利用を検討してみませんか?

人手不足が深刻です。いくら求人募集を行っても、なかなか人が集まらないで困っている会社も多いでしょう?そこで、労働者派遣の利用を考えている会社もあると思います。

ところが、数年前から労働者派遣に関する法改正が続いています。気軽に派遣労働者を使うことが難しくなっています。今回は、派遣労働者を使う際に会社が気を付けるべきことについてお話していきます。

まず最初に、労働者派遣とはどのようなものかお話していきます。

労働者派遣とは、「派遣元会社が雇用する労働者を、その雇用関係を維持したまま他社へ派遣し、その派遣先会社の指揮命令を受けて、派遣先会社のために労働に従事させること」をいいます。

この場合、派遣される労働者と派遣先会社との間には雇用関係はありません。雇用関係がないにも関わらず、自社のために働かせるべく直接指揮命令が可能であるのが、労働者派遣ということになります。この際、派遣元会社になるためには厚生労働大臣の許可が必要です。

ちなみに、「出向」とは、出向元会社と出向先会社それぞれと雇用関係がある中で、出向先会社が業務の指揮命令を行う形態をいいます。「労働者供給」も「出向」と同様の形態をとることがありますが、労働者供給は基本的に違法となります。

また、法の抜け道として悪用されることの多い「請負」ですが、「請負」の場合、派遣先会社注文者が直接労働者に対して指揮命令することができません。指揮命令を行うのは、あくまで派遣元会社(請負業者)ということになります。「請負」の形式をとっていても、実際は「偽装請負であり労働者派遣に該当する場合には無許可派遣として違法となります。

労働者派遣の利用を考えたとき最も注意すべきは、以下の(1)~(4)に掲げる違法派遣を受け入れた場合には、その時点で、派遣労働者に対して「自社で雇入れる労働契約の申し込みをした」ものとみなされること。

  1. 労働者派遣の禁止業務に従事させた場合
  2. 無許可の事業主から労働者派遣を受け入れた場合
  3. 事業所単位・個人単位の期間制限に違反して労働者派遣を受け入れた場合
  4. 偽装請負の場合

この「みなし申し込み」に対して派遣労働者が承諾すれば、派遣先会社と派遣労働者の間で労働契約が成立し、派遣先会社の直雇用となります。

(1)については、港湾運送業務、建設業務、警備業務、病院における医療関係業務(紹介予定派遣や産休等の代替などを除く)があります。

(3)については、次回、詳しくお話します。

以上を踏まえて、改めてお聞きします。「御社でも、労働者派遣の利用を検討してみませんか?」

image by: Shutterstock.com

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【著者】 飯田 弘和 【発行周期】 週刊

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