反撃の習近平。米にキレた中国が目論む「新・国連」結成の現実味

 

米中貿易戦争の今後

米国の超党派危機委員会は、「中国とは共存できないと全面対決姿勢であり、中国が対抗処置を取ると、中国輸入品のすべてに関税を掛ける第4弾を行うことになる。

米中のデカップリング・セパレーティングが起きて、米中間の貿易が止まり、世界的な供給網の再編成とブロック経済圏ができる。人の行き来もなくなる。それでも中国の代わりにベトナムなどの輸入が増えて、急には米国の貿易赤字は減らない

一方、中国は、一帯一路フォーラムで、欧州や日本など60ケ国以上の国が参加して、貿易圏をすでに確立して、米国が仕掛ける中国包囲網を突破できると見たはず。そして、米国の通商交渉では、1つの要求が合意できると、次の新しい要求が出て、とめどなく続く。このことを中国が知ったことで、無限に続く要求に交渉意欲さえ無くしたようである。

昔の日米通商交渉でも同じで、米国の有利な条件を何でも入れてきて、無限に続いた。特に基本ソフト産業を潰す条件を合意したことが現在の日本の製造業を衰退させたと、中国は研究している。中国製造2025を潰す米国の動きに、とうとう、中国は交渉を降りることになったようである。

米国は産業補助金を要求していたが、最終的には取り下げると見たが、米国担当者では、その条件を取り下げることができないために交渉を進めることができなくなったようだ。

そのため、習近平国家主席も、最悪、米国と全面的な対決になると覚悟して、「新国連を作るなどの施策がでてきたと見る。これは中国の覇権を確立するのに、丁度良い機会を得たことになる。習近平国家主席は、「決裂の責任は取る」と明言しているが、一帯一路フォーラムでの参加国の数と質で自信ができたから言えたのである。

一帯一路フォーラムを見ると、米中貿易戦争は、覇権獲得競争であるが、中国の方が優位である。市場規模が中国の方が大きいので、多くの国は、中国との貿易を切ることができない。そして、ファーウェイ製品の導入禁止という米国の要求にも、多くの国が追従しない。

米国は、一国主義のためにTPPという対中対抗ブロック経済圏構想から離脱したことで、中国への経済的な締め付けを確立できずに、日本は米国とも中国ともに貿易する道を選んでしまった。トヨタなど日本の製造業は、両国それぞれで製造・販売する方向で、ビジネスを再構築している。多くの国で中国との貿易の方が、米国との貿易より大きい。

米国は、自国産業を育成して、製造業は日本などの企業を呼び込み、米国内で作り販売させるので、米国の経済は正常化するかもしれないが、孤立経済圏になる。仲間作りをしないので、中国への対抗ができないことになる。ということで、米国一国ブロック経済になる。仲間を失うことで覇権も失うドル基軸通貨制度もなくなる。よって、巨大な財政赤字にもできなくなる

このため、米中首脳会談で、トランプ大統領は、2020年大統領選挙直前に国家補助金で譲歩してまとめる可能性もある。その時には、その見返りとしてドル切り下げを持ち出すかもしれない。首脳会談で合意できずでも、米国も中国も全面対決になるので、決裂しないで、関税を上げるなどの処置をしても交渉を継続して、当分、時間稼ぎをするように思う。

太平洋の半分を支配下にする第3列島線進出など、中国は軍事的優位を確立する必要があり、米国は中国対抗の軍事体制を作るためである。しかし、いつかは全面対決になる

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