次に重要なのが水です。私たちの体の約60%は水分なので、いわば水のタンクを背負っているようなものです。ところが、このタンクには無数の穴が空いていて、どんどんと水は漏れていってしまいます。従って、如何に、レース中にこのタンクの水をしっかりと維持しておくかがポイントとなるわけです。
水の次に優先順位が高いのがナトリウムとなります。日常の食生活においては、ナトリウムの摂り過ぎは健康によくありません。減塩の味噌や醤油が流行るのも、ナトリウムの摂り過ぎを避けるためでしょう。
ところが、練習やレース中においては汗から大量のナトリウムが放出されてしまうので、このナトリウム不足を補う事が重要となります。ちなみに、水分不足による熱中症以外にも、ナトリウム不足も熱中症となります。この場合は、体が攣るという症状が起きやすくなるのです。
そして、その次に大切なのがエネルギー源となる糖質です。水分、ナトリウム、エネルギー源としての糖質の3点セットを賄えるという点でCCDは自転車を乗る人には人気があります。
しかし、ここで大切なのは、レース中の補給のみならず日頃からのグリコーゲンリカバリーです。如何にグリコーゲンのタンクを一杯にしておけるか。
グリコーゲンが足りない状態では脂肪も燃焼効率を著しく落としてしまいます。とにかくグリコーゲンが減ったら、すぐにその材料を補充する癖をつけておくことです。以前の号でもご紹介しましたが、米はグリコーゲンの材料としても最適といえます。
そして、最後にタンパク質となりますが、ここでのタンパク質はBCAAを指します。レース中の血中のBCAA濃度を如何に高めておくかがパフォーマンスの向上と、レース後の筋疲労の回復に役立ちます。
この一連の酸素→水→ナトリウム→糖質→BCAAは、エネルギー産生をスムースにするための材料となります。そして材料を実際にATPというエネルギーにするために、総仕上げとして補充したいのがコエンザイムQ10です。
材料が足りなかったり欠けていてはATPは作られません。しかし、材料だけではATPにはならないのです。実際に、材料をATPに変える役割として重要な成分がコエンザイムQ10ということになります。
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