菅官房長官が異例の渡米、その「真の目的」は何だったのか?

 

金英哲氏や金革哲氏につながるルートをもし日本政府が掌握していたとすれば、いったん白紙に戻し、別ルートを探さなければならない

そのあたりの事情をつかんでいるのは北朝鮮との話し合いを進めてきたマイク・ポンペオ国務長官であろう。ポンペオ氏は金英哲氏とともに米朝首脳会談の準備を進めた経緯があるからだ。5月9日午後(日本時間10日午前)、ワシントン入りした菅官房長官は、さっそくポンペオ国務長官と会談している。

毎日新聞によると、菅長官の訪米意図を5月3日の時点で韓国紙が報じていた。

韓国紙・中央日報電子版(日本語版)は3日、菅義偉官房長官が9~12日の訪米中に北朝鮮高官との接触を模索していると報じた。中央日報はワシントン外交筋の話として、拉致問題担当相を兼ねる菅氏が訪米中に「北側の人物と会うことを推進している」と報道。

北側の人物に菅官房長官が接触したかどうかはわからない。ポンペオ国務長官から対北ルートを確認できたかも定かではない。

だが、ひっきりなしの外遊にもかかわらず外交成果らしきものがなく、参院選を前に焦りを募らせている安倍首相が、ここへきて何としても、金正恩委員長との首脳会談を実現させたいと考えているのは確かだ。

もちろん、条件は付けないといいながらも、拉致問題は解決済みとする北朝鮮の態度を変えさせるのが目的である。

官邸外交の司令塔とみられる今井尚哉首席秘書官は周囲にこう語っているらしい。

「日本だけが北朝鮮に最大限の圧力を掛け続けるといっても仕方ない。拉致問題は日本にとって弱みのように見られるけど、強みでもある。北朝鮮は拉致解決をちらつかせて日本政府からカネを狙っている。それなら、そこをうまく利用すればいいじゃないか」(ニュースポストセブンより)

圧力路線をいつまでも続けるより、安部首相が直接会って、カネをちらつかせたほうが経済的に困窮している北朝鮮には効き目があるというのだろう。

安倍首相の方針転換からは、金正恩との融和策を維持するトランプ路線に合わせようとする今井秘書官の意図が読み取れる。

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