大阪桐蔭野球部と帝京大ラグビー部監督、連覇を可能にする指導法

 

甲子園の王者。大阪桐蔭野球部のルール

西谷 「個人の集まりがチームですから、チームを強くしようと思ったらまず個人をどれだけ鍛えていくかが大事だと思います。ですから、秋の大会が終わって翌年の春の大会が始まるまでは、チームワークが悪くなってもいいのでとにかく己が強くなることだけを考えてやれ、60人のうちトップ20人がメンバーに入れると伝えています。

いまの子供たちはものすごく仲がいいんですよ。それはいい面もあるんですけど、時として弱さに繋がることもあるので、敢えて、隣でサボっているやつがいても声を掛けなくていい、同じポジションのやつとは口をきかないくらいに競い合えと。

で、ある時期に来たら、皆で集合して、ここまで個人を鍛えてきたけど、ここからはチームとしての組織力を上げていきたいので、もし自分がベンチ入りメンバーに入れなかったら頑張れないという気持ちでいる者は明日からグラウンドに来ないでほしい、という言い方をするんです。

メンバーから外れた子たちは裏でワンワン泣きます。でも、練習が終わったら解散ではなく、全員寮に帰るわけです。同級生3人ずつが同じ部屋なんですけど、2人入って1人外れる、1人入って2人外れる、3人とも入る、3人とも外れるという4つの場合がある。

もし一人部屋だったら不貞腐れようと勝手ですが、仲間がいる前でそんなウジウジした姿を見せるのは格好悪いですよね。そうすると次の日から、バッティングピッチャーや雑用、さらには相手校の偵察など、献身的にチームのサポート役に回ってくれるんです。

彼らの姿勢を見て、メンバーの子たちも『あいつらは悔しい思いをしているのにこんなに頑張ってくれているあいつらのために絶対勝とう』と言うようになる。

私たちは『一球同心』をスローガンに掲げているんですが、そのように自分のためではなく、誰かのためにという思いで心が一つになれば負けにくいチームがつくられると思います」

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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