大阪桐蔭野球部と帝京大ラグビー部監督、連覇を可能にする指導法

chichi20190522
 

毎年強豪校が鎬を削る全国大学選手権で9連覇を果たした帝京大学大学ラグビー部と、2度の甲子園春夏連覇という偉業を達成した大阪桐蔭高校野球部。両チームの監督はどのような指導で彼らを頂点に導いたのでしょうか。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』で、両校監督が対談形式で自らの指導論を披露しています。

最強チームをいかにつくるか

片やラグビー全国大学選手権で前人未到の9連覇を果たした帝京大学ラグビー部。片や史上初となる2度目の甲子園春夏連覇を成し遂げた大阪桐蔭高等学校硬式野球部

毎年選手が入れ替わる中で、常に現状の戦力から出発し、選手を育てチームを日本一へと導いてこられたお二人。

全国屈指の強豪校が鎬を削る世界において、ひと際輝かしい実績を積み重ねてきた岩出雅之氏と西谷浩一氏が語り合う指導論の極意とは──。

最強帝京ラグビー・全国9連覇の奇跡

西谷 「岩出監督は帝京ラグビー部の監督に就任されて、どんなことに着手しましたか?」

岩出 「まず普通のことをしっかりしようということで、練習を休まないとか挨拶をするとか、そういうチームの規律を育てていくことから始めました。帝京ラグビー部に限らず、学生スポーツは自由気ままな活動が罷り通っていた時代です。そこに中学校や高校の部活指導を経験し、規律をうるさく言う指導者が現れたと。学生にしてみれば面倒くさいやつが来たなと思っていたでしょうね。学生たちも未熟でしたけど、僕自身も未熟で、学生たちの心を掴むようなアプローチの仕方が分からず、もがき苦しんでいたように思います。

そんな中、就任から2年後の平成10(1998)年に、数名の部員が不祥事を起こして逮捕され1年間の公式戦出場停止処分を受けるという大きな試練に直面しました。非常に辛い出来事ではありましたけど、その時に本当の意味で覚悟を定めることができました。足場がどれだけ悪くても、学生たちがどれだけ自分についてこなくても、何があっても絶対に逃げない信念を持って根気強く挑戦し続けていこうと」

西谷 「ああ、何があっても絶対に逃げない」

岩出 「この思いはいまも全く変わっていませんし、辛い体験を学生たちにさせないためにも、指導は妥協しないように努めてきました。ただ、世の中の変化に伴ってアプローチの仕方はもちろん変わっていますけど」

西谷 「どのような変化を?」

岩出 「僕も最初はトップダウン型の指導をしていました。ところが、監督になって5年くらい経った時、勝ったら全国大会に出場できる、負ければ敗退してしまうという瀬戸際の試合で、ベンチに入れなかった1年生が『負ければいいのに』と言って相手チームを応援するような残念な光景を目にしたんです。きっと試合に出られないから自分とは関係ない、と思ってそう口にしたんでしょう。帝京ラグビー部という組織自体に魅力がないことを痛感しました。

まず組織自体を好きにさせるためには、環境づくりが大切だなと思いまして、本人の心を育てていくと共に、上級生と下級生の関係性を育てていこうと。それで試行錯誤の末、『上級生が下級生に伴走する』ことや『ダブルゴール』を設定するようにしたんです」

西谷 「詳しくお聞かせください」

岩出 「4年間の短期的な目標と卒業した後の長期的な目標を考えさせています。高校を出たばかりの1年生というのは、ラグビーをしたいとかレギュラーになりたいとか優勝したいとか、目の前のことだけにターゲットを置いて入部してきます。そういう夢があるからこそ、彼らは体の中からワクワクするエネルギーが湧き起こってくる。ですから、4年間の短期的な目標を立てることは大事です。

ただ、卒業後もラグビーを続ける学生ばかりではありませんし、続けたとしてもラグビーというのは比較的選手寿命の短いスポーツですよね。その後の人生のほうが長いわけなので、社会人としてどういう活躍をしたいのかってことも学生の時から意識させるんです」

西谷 「目指すものがはっきりしているかどうかで、日々の練習や勉強に対する取り組み方も変わってくるでしょうね」

岩出 「全く違います。目の前のゴールと未来のゴールを同時に考えて設定することで、彼ら自身の力で人生を切り開いていってほしいと思っています」

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