警察も医師も看護師も。日本じゃ考えられぬ米国人のテキトーぶり

 

同じニューヨーク大学病院でのこと。出産から3ヶ月後、妻が倒れました。

こんな時、もちろん、アメリカでは緊急(エマージェンシー)に行ってはいけません。命に関わる、一刻を争う状況でなければ、エマージェンシーは一般よりも待たされます

妻は手術することになりました。かなりひどい状態だったらしく結構な大手術です。ふと、嫌な予感がした僕は、すでに真夜中でしたが、その場にいた看護婦さんに「何時になってもいいから、何かあったらケータイに電話ちょうだい!とにかく手術が終わっても電話して!」とお願いしました。彼女はOKとテキトーに返事して、その場を立ち去ろうとしました。ちょっと待て。どこに電話する?僕はまだ彼女にケータイの番号を伝えていません。めんどくさそうに僕の番号をメモする彼女。お願いね、と念を押す僕。「わかったわ!なにかあったらもちろん電話するし、無事に終わっても必ず電話する」と彼女は約束してくれました。「しつこくて、ごめん」と言う僕に、「ごめんなんて言わないで、家族だもの心配して当然よ」と優しい目。アメリカのテレビ映画でよくみる表情。旅行くらいでしか本物のアメリカを知らない日本人は「アメリカ人はやさしい」と間違いなく思うことでしょう。

何時間経っても、電話は鳴りません。数時間後、しびれを切らし、病院に行くとスヤスヤ寝ている妻。詰所のソファには、テレビを見ながら、グミを食ってる例の看護婦。グミを口に入れたまま、時折、手を叩いて爆笑してる…。

もう、何も怒る気にはなりませんでした…。

こんなテキトーな連中を、好きになれるはずがありません。今までの話、日本ならスポーツ新聞どころか一般誌でも取り上げてくれそう。

でも、もちろん、ビジネスをしている時は、このテキトーさに助けられることもまたあります。後に引かない、サッパリさは、日本人にはない気持ち良さも持ち合わせてはいます。

なので、好きになったり、嫌いになったり。この19年も、この先も、僕はそう思うことでしょう。

来週あたり、アメリカ在住の読者からクレーム、来るのかな…「アメリカに住んでいるのに、アメリカが嫌いなんですか?」って(笑)。

何度も言います。僕は、アメリカが大好きで、大嫌いです。僕は、日本が大好きで、大嫌いです。で、その状況を楽しめる今の環境をとても幸運だと思っています。

image by: Drop of Light / Shutterstock.com

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全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

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