警察も医師も看護師も。日本じゃ考えられぬ米国人のテキトーぶり

 

先々月に乗ったアメリカの航空会社のビジネスクラス。離陸してすぐに点灯させた、CAさんを呼ぶためのライト。LAまでの6時間。ついぞ到着するまでCAさんは来てくれませんでした。ライトは点灯しっぱなし。その間、何度も何人ものCAさんが真横の通路を行ったり、来たり。6時間無視。おそらく、あのライト、2ヶ月経った今も点いたまんまだと思います。渡米当初は、ひょっとして人種差別をされているのかと疑いました。在米20年目の今、それは人種差別とはまったく違うと確信します。なぜなら白人でも黒人でも、アメリカの航空会社のサービスは、いつも安定してこんな感じだから。そう、安定して手抜きです。彼らのテキトーさは、決して妥協しない。テキトーにテキトーではない。きっちり完璧なまでにテキトー

うちには来月4歳になる双子がいます。4年前、彼らが生まれてきた日のことです。

病院は、世界最高峰の医療施設と(自ら)詠うニューヨーク大学病院。

彼らがこの日に生を受けて、翌朝、ひとりの看護婦さんが、与えるミルクの量を教えに病室まで来てくれました。「ひとりずつに、3mgずつ、朝、昼、夜とあげてね」

昼間に巡回に来てくれた別の看護婦さんは「生まれた翌日は朝夜の2食で十分よ、4mgずつ与えてね」

夜間、巡回に来てくれた別の看護婦さんは「どうして昼にあげなかったの!?毎食5mgずつ与えるのよ」

翌日、診断してくれた女医さんは「朝と夜に3mgずつ、ちゃんとあげた?」

その昼、婦長さんに聞きに行きました。「正解を教えてくれ!」と。

全員違うから。

婦長さん当たり前のような顔で「だから、朝昼夜と6mgずつよ」─……。

ここでも違う、また新たな情報。キレイに、全員、ばっらバラ。全員、バカに見えました。

今、4歳になる双子の父親として、大したことではなかったと理解できます。ミルクなんて3mgでも5mgでも、1日2食でも、3食でも、そう大差ない、と。

でも、その時は、初めての出産で、彼らがこの世に生を受けて、初めての食事でした。

父親初日の僕には、とても重要なことと思い、正直、パニクりました。

例えば、「隣の病院では、こう指導している」とか、「こっちの書籍ではこう書いてあるけれど、またちがう医療の専門書ではこう書いてある」なら、まだ理解できます。まだ、わかる。そういうこともあるだろう、と。でも、今回はまったく違う。

婦長さんに言いました。「登場人物、全員、あんたのとこの、同じ病院の同じ階の同じ詰所の人間だけどなっ!!!」。簡単なマニュアルもないのかしら。産婦人科だけは、得意の「テキトーさ」を封印してくれないか、アメリカ人よ(涙)。

いざ、退院の際、受付には誰もいませんでした。親子だと証明する腕に巻きつけられた番号札を自分でハサミで切るしかありませんでした。もし僕が誘拐犯ならこれ以上なく簡単に新生児を外に連れ出すことができました

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