MAG2 NEWS MENU

科学者がバッサリ。噂の「プラセンタ」って本当はどうなの?

 美肌やアンチエイジングに効果が期待されると注目の「プラセンタ」ですが、その成分の由来、そして肝心の実力はどれほどなのでしょうか。今回の無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』では著者で科学者のくられさんが、 そんな謎の多いプラセンタについて徹底解説しています。

プラセンタってなんだろう?

最近しきりに美肌に、アンチエイジングに、などと用いられる成分にプラセンタというものがあります。言葉くらいは聞いたことがある人も多いと思います。

近年は植物性プラセンタやマリンプラセンタといったものまで配合と書かれていたりします。一体全体プラセンタとはどういったものなのでしょうか?そもそもキッチリ効果はある成分なのでしょうか?

価値があると思って買っているその成分、本当に価値があるのか見ていきましょう。

プラセンタとは

そもそもプラセンタというのは我々を含む哺乳類の胎盤のことです。胎盤を英語にしただけのものです。要するに胎盤エキスというのが分かりやすい言葉になります。この胎盤をエタノールで成分をおおざっぱに抽出したものがプラセンタエキスというものです。

肝心なプラセンタの成分は分析すると、大部分がタンパク質で、その中にホルモン類、各種ステロイド骨格の様々な成分が検出されるようです。当然、胎盤という部位ですから女性ホルモンであるエストロゲンやそれに類するものが含まれていると考えられます。ただ一応医薬品を標榜して注射薬のプラセンタを提供している会社のサイトによると、そうしたホルモンなどは含まれていないため成分としてはアミノ酸液のようです。

大事なのは、プラセンタという成分が存在して、それが効果があるわけではなく、あくまで胎盤の抽出液がプラセンタと呼ばれているだけであるということです。事実、プラセンタにのみ含まれ若さを保ったり健康を増進する際だった有効成分というものはどこを探してもありません

サプリメントとしてのプラセンタでは、タンパク質や、様々なプチチド、ビタミン、ムコ多糖類、糖質、酵素などが豊富に含まれたもので、こんな栄養が豊富な食品はそうそう有りません…などと標榜していますが、栄養価の点ではバランスの良い普通の食事の方が桁違いに良いので、プラセンタ配合のサプリを飲んだから…なんなん?というレベルです。

胎盤は栄養豊富だし赤ちゃんの源だから摂れば若返るってのは薄毛の人が髪の毛を食べれば毛が生えると同じ理屈。おかしな話です。アメリカ人を食べたら英語ペラペラになるんでしょうか

厳選された豚肉の出汁をたっぷり配合した錠剤なんかいりませんよね。そんなことより豚肉を食べた方が良いのは言うまでもありませんね。

ようするに、その程度のものであるということです。事実、プラセンタの服用でアンチエイジング効果があったという効果が見られたという信頼できる研究結果はなさそうです。

逆に言えば、ほぼ確実になんの害もないため、うっかり「効いた」と思った人が出たら、それだけで儲けもの。完全なイメージ商品なのは言うまでもありません。

意味不明なプラセンタ

とりあえず、本筋に関係が無いので、さっさと解説しておきたいのが植物性プラセンタ海洋プラセンタという言葉です。植物には胎盤もありませんし、海のプラセンタとかもはや意味不明です。

植物性プラセンタは米ぬかの抽出液で、海洋プラセンタはサケやマスなどイクラなどを包む膜の成分だそうです。要するに精米や大豆製品を作るときの不要部でありイクラの製造時に出る不要物です。

概ね無害無益なサプリメントとしてのプラセンタはまだマシで、プラセンタ入りの高級化粧水は被害が出ています

40歳女性、プラセンタエキス配合の化粧水、サプリメントを使用したところ、全身の紅斑浮腫接触性皮膚炎などを発症、使用を止めたところ軽快した。という報告があります。

数件の被害がどうしたという見方もできますが、さっきもお伝えしたとおり、プラセンタは多種多様な動物由来の汁です。様々なアレルギーがある中、とりたてて肌から入って効果のあるものが確認でき無い上に、そういったアレルゲンや細菌の温床になりそうな栄養入りの水を顔につけるのは賢明とはとても言えません

同様にコラーゲン入りの化粧水などもありますが、何度も例に出して悪いのですが、薄毛の人が他人の毛を頭に貼り付けても毛は増えません。コラーゲン(つまりはゼラチン)を肌にぬっても肌に入ることはなく、中に含まれるヒアルロン酸やグリセリンといった保湿成分にごまかされているだけです。

アリエナイ理科ポータルのこの記事をお読みになりたい場合は、こちら

image by: Shutterstock.com

くられこの著者の記事一覧

シリーズ15万部以上の不謹慎理系書「アリエナイ理科ノ教科書」著者。別名義で「本当にコワい? 食べものの正体」「薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬 」などを上梓。学術誌から成人誌面という極めて広い媒体で連載多数。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 アリエナイ科学メルマ 』

【著者】 くられ 【発行周期】 週刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け