近江商人の神髄
マーケティングの世界では、お客様の好みや要望を探し出してきて、それに合った商品を売るのがよいとされています。近江商人は、おそらくお客様が自分の好きなものを買っても、それが必ずしも満足につながることばかりではないと言っているのでしょう。それよりも「客のためになる」商品やサービスを優先せよと言っているのです。それが、お客様をファンにする秘訣だとも言っています。
そして、お客様をファンにするための言葉が、3.の「売る前のお世辞より売った後の奉仕、これこそ永遠の客をつくる」です。マーケティングの神髄ですね。
大切なのは、商品やサービスを売った後の、お客様へのフォローだと言っています。手紙を出したり、メールで情報を提供したり、イベントに招待したり、コミュニティーを作ったり、方法はさまざまです。それが、「生涯顧客」を作ることにつながります。もうこんな昔から唱えられていたとは驚きです。おそるべし、近江商人。
そして、一番最後に「商売には好況、不況はない、いずれにしても儲けねばならぬ」とあります。重みのある言葉です。
業績が悪いことを、景気のせいにしてはいけません。景気が良くても悪くても利益を出すのが経営なのです。おそらく、この考えの中に、近江商人の強さの秘訣があるように思います。
いかがですか。この「商売十訓」はすごいと思いませんか。近江商人は、「三方良し」も含めて、脈々とその文化を受け継いできました。そうした文化が、その土地にもしみついています。そんな中で育った商人は、実に幸せですね。
■今日のツボ■
- 「三方良し」と「商売十訓」は近江商人の経営哲学である
- どちらも、バランスの良い考え方である
- そして、どちらも現代の経営に十分に活用できる
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