● 7月9日、仙台市内で昨年11月、市立小2年の女児と母親が、いじめを苦に無理心中した事件で、学校側が、女児の欠席日数を、年間30日から28日に訂正していたことが明らかになりました。いじめ防止対策推進法28条は、いじめが原因と疑われる欠席が相当期間(30日以上を目安としている)あった場合、「重大事態」として調査すべきことを定めていますが、欠席日数を28日として隠蔽したのではないかと、遺族が反発。しかし市側は「欠席の連絡があった後、登校した日が2日間あり訂正した。誤記が原因」と説明し、女児へのいじめは「重大事態に当たらない」と結論付けたとのことです。
● 7月17日、山口県の大島商船高専で、2016年5月に男子学生が自殺した後、寮で同室だった2年生の男子学生がいじめを受けるようになったと訴えている問題で、2017年8月に同校が同級生に聞き取ったアンケートが廃棄されていたことが明らかになりました。同年10月に紛失が発覚。同年末から調査を始めた第三者委員会にアンケート現物は提出できず、保護者は隠蔽だと反発。学校側は、「誤って廃棄した可能性が高い」、「(第三者委員会に)アンケート内容は報告している」と説明しています。
以上、6月12日から7月17日までの1カ月余りの間に報道された、事例をいくつかあげてみました。このほかにも、いじめ事件の報道はありました。あまりにも多く、そしてその内容に暗澹とした気持ちになります。記者会見で教育長らが深々と頭を下げている映像も何度も目にしましたが、子供が命を絶ったり、PTSDなどの後遺症に苦しんでいる後に、頭を下げても遅すぎることは言うまでもありません。
結局、「いじめを放置した」ことによって生み出された深刻な被害の問題と、いじめが発覚した後の「学校ぐるみでの隠蔽工作」という「放置」と「隠蔽」が、いじめ問題の大きな障害となっているのです。早期に発見し、いじめを止めれば、こんな問題にはならないのです。学校でのいじめを解決できるのは教師だけですし、いじめ対応を学校や校長に指導するのは教育委員会です。子供の自死や後遺症など、ひどい学校に行かなければこのようなことは起こらなかったと言えます。
埼玉県の川口市では、いじめで不登校になった元生徒が、市を訴えた訴訟の中で、市教育委員会が、いじめの対応について、県教育委員会や文部科学省から55回も指導されていたこと、さらに市教委や校長は、3回も文科省に呼び出されて直接指導されたのに、是正しなかったことが明らかにされました(7月18日付朝日新聞)。
こんなとんでもない市教委や学校は減りつつあり、ここ数年、学校のいじめに対する姿勢も変わろうとしています。しかし、いじめから目をそむけ、逃げる教師や学校がまだまだあるのです。もはや、教師や教育委員会の善意だけを信じることも限界ではないでしょうか。子供をいじめから救い守るためには、いじめ防止対策推進法に、「いじめ放置、いじめ隠蔽等の教師は懲戒する」と定めるなど、もう一歩、抑止力ある施策が必要です。
いじめの早期解決に向けて、ご相談を受けています。お子さんのことでご心配なことがありましたら、ご遠慮なくご相談ください。
いじめから子供を守ろう ネットワーク
松井妙子
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