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1ヶ月でこんなにも。学校のいじめ隠蔽や放置で殺される子供たち

令和の時代になっても、いじめを苦に命を断ったり精神バランスを崩してしまう子供たちが跡をたちませんが、その大きな原因は学校側の変わらぬ体質にあるようです。今回の無料メルマガ『いじめから子どもを守ろう!ネットワーク』はで同ネットワークの松井妙子さんが、未だ横行している学校側の耳を疑うような対応を記すとともに、いじめ防止対策推進法に「教師の懲戒」を明記するよう求めています。

絵に描いたような「いじめ隠蔽」

1学期を振り返ると、実に多くのいじめ事件が報道されました。6月、7月の目についた報道だけでも、

● 6月12日、大阪府吹田市で、市立小5年の女児が、1、2年生の時、足首骨折、心因性の視力障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になっていたことで、第三者委員会がいじめを認定。女児はアンケートで「いじめられている」と訴えていましたが、学校は約1年半にわたって放置していたことが判明。

● 6月14日、大阪府泉佐野市で、今年1月、飛び降り自殺した、市立中2の女子について、市教育委員会が、いじめを認める調査結果を公表。学校が昨年10月に実施したアンケートでは、いじめを把握できていなかったとのことです。

● 6月17日、兵庫県尼崎市で、2017年、市立中2の女子が自殺した問題で、生徒の母親が、市に慰謝料など約7,900万円を求めて神戸地裁尼崎支部に提訴。学校がいじめに対する適切な対応を怠ったと訴えています。今年3月、第三者委員会は、「ブタ」「死ね」等の悪口を言われるなどのいじめを認め、自殺に影響したとの報告書を公表。いじめを示唆する女子生徒のアンケートを担任教諭が放置したことも明らかになりました。

● 6月18日、大阪市で、2016年、市立中1年だった女子生徒が不登校になった問題で、第三者委員会は、たたいたり蹴ったりした同級生らの行為をいじめと認定。当時の学校や市教委がいじめと認識せず適切な対応を欠いたと指摘しました。

● 6月19日、大阪府八尾市の市立小6年の女児が不登校になっている問題で、第三者委員会が、いじめが原因と認定しました。女児は、男児から「デブ」「ブス」等言われ、暴力を受け左手小指骨折等し、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断。担任は、相談を受け男児を注意しましたが、悪口はいじめと認めず、学校も暴力行為は校外でのけんかだとしており、さらに担任は、悪口や暴力に対応した内容の記録を廃棄していました。

● 7月3日、岐阜市の中3男子生徒が、「自分が死ねば、いじめた側はどうなるだろう」という趣旨のメモを残して転落死。担任は、5月31日、給食時のトラブル、持ち物を隠す等のいじめ内容を記したメモをクラスメートから受け取りましたが、名前があがっていた同級生2人に指導して、解決したとして、メモをシュレッダーで廃棄。いじめ防止対策推進法が義務付ける、学校管理職への通報もしていませんでした。死亡後、「ビンタする」、「蹴る」、「つばをかける」、「口に含んだジュースを吹きかける」、「トイレで土下座」、「金銭要求」等々、凄惨ないじめを受けていたとの情報が次々と学校に寄せられました。男子生徒は中学1年の頃からいじめを受けているとアンケートで答えていましたが学校側は組織的ないじめ対策を行っていませんでした

● 7月9日、仙台市内で昨年11月、市立小2年の女児と母親が、いじめを苦に無理心中した事件で、学校側が、女児の欠席日数を年間30日から28日に訂正していたことが明らかになりました。いじめ防止対策推進法28条は、いじめが原因と疑われる欠席が相当期間(30日以上を目安としている)あった場合、「重大事態」として調査すべきことを定めていますが、欠席日数を28日として隠蔽したのではないかと、遺族が反発。しかし市側は「欠席の連絡があった後、登校した日が2日間あり訂正した。誤記が原因」と説明し、女児へのいじめは重大事態に当たらないと結論付けたとのことです。

● 7月17日、山口県の大島商船高専で、2016年5月に男子学生が自殺した後、寮で同室だった2年生の男子学生がいじめを受けるようになったと訴えている問題で、2017年8月に同校が同級生に聞き取ったアンケートが廃棄されていたことが明らかになりました。同年10月に紛失が発覚。同年末から調査を始めた第三者委員会にアンケート現物は提出できず、保護者は隠蔽だと反発。学校側は、「誤って廃棄した可能性が高い」、「(第三者委員会に)アンケート内容は報告している」と説明しています。

以上、6月12日から7月17日までの1カ月余りの間に報道された、事例をいくつかあげてみました。このほかにも、いじめ事件の報道はありました。あまりにも多く、そしてその内容に暗澹とした気持ちになります。記者会見で教育長らが深々と頭を下げている映像も何度も目にしましたが、子供が命を絶ったり、PTSDなどの後遺症に苦しんでいる後に、頭を下げても遅すぎることは言うまでもありません。

結局、「いじめを放置した」ことによって生み出された深刻な被害の問題と、いじめが発覚した後の「学校ぐるみでの隠蔽工作という放置隠蔽」が、いじめ問題の大きな障害となっているのです。早期に発見し、いじめを止めれば、こんな問題にはならないのです。学校でのいじめを解決できるのは教師だけですし、いじめ対応を学校や校長に指導するのは教育委員会です。子供の自死や後遺症など、ひどい学校に行かなければこのようなことは起こらなかったと言えます。

埼玉県の川口市では、いじめで不登校になった元生徒が、市を訴えた訴訟の中で、市教育委員会が、いじめの対応について、県教育委員会や文部科学省から55回も指導されていたこと、さらに市教委や校長は、3回も文科省に呼び出されて直接指導されたのに是正しなかったことが明らかにされました(7月18日付朝日新聞)。

こんなとんでもない市教委や学校は減りつつあり、ここ数年、学校のいじめに対する姿勢も変わろうとしています。しかし、いじめから目をそむけ、逃げる教師や学校がまだまだあるのです。もはや、教師や教育委員会の善意だけを信じることも限界ではないでしょうか。子供をいじめから救い守るためには、いじめ防止対策推進法に、「いじめ放置いじめ隠蔽等の教師は懲戒する」と定めるなど、もう一歩、抑止力ある施策が必要です。

いじめの早期解決に向けて、ご相談を受けています。お子さんのことでご心配なことがありましたら、ご遠慮なくご相談ください。

いじめから子供を守ろう ネットワーク
松井妙子

image by: Shutterstock.com

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「いじめ」と学校の「いじめ隠ぺい」から、子供たちを救うための、父母によるネットワークです。いじめの実態やいじめ発見法、いじめ撃退法、学校との交渉法、いじめ相談などを掲載します。

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【著者】 いじめから子供を守ろう!ネットワーク 【発行周期】 週刊

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