侮るな。なぜ「吉本興業」問題は人ごとでは済まされないのか?

 

3番目は、契約書契約社会ということです。今回の吉本興業の場合は、契約書がないということが問題になっています。大企業であるのに、これは民事上のリスクを抱えた大変な状態だと思うのですが、同時に所属タレントにとっても、文書で契約がキチンと決まっていないというのは大きなストレスだと思います。

考えてみれば、契約書というのが日本社会ではまだ十分に徹底していないように思います。いわゆるコンプライアンス(形式主義ですが)への関心の高まりで、契約書を交わす例が増えてはいますが、まだまだです。

例えば、文書で契約書を作ると、そこに国が介入してきて収入印紙を貼らせるという法律があるのも問題ですが、契約書は見るだけ、1通しかなく会社が保管、契約書を担保に取る、あるいは就業規則は渡さない、就業規則の守秘義務がやたらにキツイなどといった違法な運用がまだまだ横行しているように思います。

日本社会がもっとオープンになって、一人一人が安心して働くことができるためには、この契約書をキチンとするという問題も重要です。

その意味で、現在、芸能界を揺るがせている問題は、決して人ごとではないのです。

image by: 吉本興業

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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