海に向けた銃弾が当たらない理由が、人間関係にも思い当たる話

 

人間も同じではないだろうか。他人に対して当たりが強い者ほど相手の表層面すら突破できずに自ら傷ついてしまう。さらに悪いことに、人間は水ではないから当然相手も傷つけることになる。強く当たっては互いに傷つき、激しくぶつかっては互いに苦しむ。哀しいが毎日当たり前のように繰り返されていることである。

それでもやっぱり少しでも相手の心に触れたいと思うなら、そっと手を伸ばすしかない。ゆっくりと手を伸ばすしかない。何ともどかしいことか!しかし、そのもどかしさの中にこそ誰かを理解するということの本質があるのかもしれない。

よく「当たって砕けろ!」などと言う。言い得て妙だ。強く当たれば当然砕ける訳だから。しかしながら砕けてしまっては元も子もない。誰も幸せにはなれない。思うにこの命令形によるフレーズには、それが命令形であることからも分かるようにどこか他人事的な無責任さがある。短気を起こしてはいけない。やはりもどかしさに耐えながらでも、そっとやさしく手を伸ばし続けることが大事なのである。

砕けないようにやさしくゆっくり当たれ」敢えて言うなら、まあこんなところではないだろうか。

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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【著者】 山崎勝義 【月額】 ¥220/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 火曜日 発行予定

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