ところで本来、年金というのは20歳になるとどんな業種の人であれ強制的に国民年金の被保険者になります。そうすると、自己責任の考え方に立ち、保険料を支払ったりもしくは保険料支払えない時は免除なりを申請しておいて、万が一の場合に「保険」を掛けておきます。それが公的年金。
障害年金であれば、「初診日という保険事故」が起こる前に一定以上の未納が無い事が条件としてあります。ですが、20歳前障害基礎年金は20歳前というまだ、国民年金の加入義務が無い時の傷病により障害基礎年金が支給されますが、そんな保険料納付の義務が無い時にまで自己責任と言われたら弱者切り捨てみたいな事になりますよね。20歳前に障害を持つという事は本人には何も責任はありません。だから、20歳前に障害を持ってしまった人にも年金を支給しようという事になったんです。
しかし、保険料支払わなくても年金を支給するから、前年所得によっては年金額を停止しますねというのが20歳前障害基礎年金。一応、昭和61年3月まではこの20歳前の障害の人は障害福祉年金として支給していましたが、福祉的な年金だから非常に金額が低いものでした。本来の障害年金の3分の1くらいの額。
しかし、昭和60年改正である昭和61年4月に全国民共通の基礎年金制度が導入された時に、そういう人も障害基礎年金を支給するという事になって大幅な給付改善がなされた時でもありました。昭和56年の国際障害者年を契機に国民的な関心が高まった事により、障害者の年金を大幅に引き上げよという強い要望があった。
しかし、年金に加入する前の20歳前障害の人はどう助けようもないと判断されていたが、その後の昭和60年改正で大幅な障害年金の改善が実現した。障害福祉年金を受給していた人も給付の高い障害基礎年金に移行(裁定変え)した。
昭和60年改正は年金の給付の大幅な抑制を図った改正ではありましたが、せめて障害者の人には喜ばれる年金にしたいという意図があったのでしょう。本来、年金に加入してなかった人までにも保険料を用いて通常の年金を支給する事は考えられない話だったんです^^;。でも昭和60年改正を編み出した当時の年金局長が実現させた(昭和60年年金大改正は山口新一郎年金局長がほぼ一人で考え出した改正だったが、法案を通す前にガンで亡くなられた。その後の部下の人たちが法案を通して今の年金の形に至る)。
さて、話を戻しますが、どのくらいの所得があると障害基礎年金が停止されるのか?
- 障害基礎年金が全額停止→前年所得が4,621,000円(給与収入で6,451,000円)を超えたとき
- 障害基礎年金が半額停止→前年所得が3,604,000円を超え、4,621,000円以下の時
前年所得が3,604,000円(給与収入で5,183,000円)以下であれば障害基礎年金は全額支給されます。停止される場合は、今年8月分から翌年7月分までの1年間が停止になります。8月分の年金から停止するから10月15日振込から影響してくる。まあ…結構高い所得の人が障害基礎年金の停止なので、ちょくちょく見かけはするけどそんなに該当する人は少ないです^^;
よく10月15日年金振り込みになると、「年金が振り込まれてない!」っていう事態が起こって、原因を見てみると所得による停止とかですね。それでびっくりして相談に来られるとか。一応、通知は前もって送付されるんですけどね…。
年金業務の現場ではあるあるな話です。
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