さらに日本側が肝に銘じなければならないのは、韓国政府の課長は日本のキャリア官僚の課長と比べても社会的地位が高いということです。そのエリートである自分たちが雑然とした会議室に通され、ノーネクタイで対応されたとあれば、最初から敵意が燃え上がってしまうのは避けられません。
経産省の岩松課長の表情には、明らかに韓国側を見下している様子が見られましたが、これもまた日本の国内外で見られるキャリア官僚の誤ったエリート意識の現れです。
以前、三菱総研の創設者である牧野昇さんから聞いたことですが、所管官庁の通産省は社長の牧野さんが行って初めて、課長が出てきたというのです。それくらい官の立場から民を見下していたのです。それが、三菱総研が軌道に乗ると、牧野さんが顔を出すと大臣や事務次官が出迎えるように豹変したのですから、日本のキャリア官僚の悪しき側面がどれほど低次元なものか、わかろうというものです。
外国とガチンコの勝負をするとき、厳しい表情で臨むのはひとつの姿勢です。さらに高度なのは、にこやかに振る舞いながら徹底的に相手を論破し、こちらの主張を通していくことです。
そのどちらのスタイルでもよいのですが、あとで相手につけ込まれないように録画の実施と公開を前提条件とし、部屋や服装についても完璧さを意識することが思ったより重要だということは、忘れてはならないと思います。(小川和久)
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