これからの情報戦に使えるヒント
そして、日本の政治家が外国メディアから取材を受けたとき、以下の記事を参考にしたらいいかもしれません。
北朝鮮の対南宣伝サイト「わが民族同士」は28日の論評で、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄を韓国に要求した。北朝鮮は、歴史問題が通商摩擦に拡大した日韓の関係悪化を日米韓の軍事協力弱体化の好機とみて、引き続き協定破棄を文在寅政権に要求するとみられる。
(日経 7月28日)
北朝鮮は、文に「GSOMIA破棄を要求した」。アメリカ国務省、国防総省は、「GSOMIAを破棄しないよう要求した」。「日経新聞7月28日付にあるんですが」といい、日本語原文、英語訳を読み上げ、「文大統領は、北のエージェントとはいいませんが、アメリカの国益よりも北朝鮮の利益を代弁している人みたいですね」といえばいいでしょう。「あれって、北朝鮮の依頼で破棄したんですよね」というのは、日本にとって「いい武器」だと思います。
GSOMIA破棄で、得をする国、損をする国
在英ジャーナリストの木村正人さんは、今回の件について、いろいろな専門家の反応を取り上げてくださっています。
● 韓国のGSOMIA破棄で崩壊に向かう日米韓トライアングル 自分の強運が信じられない北朝鮮の金正恩氏
少し引用してみます。まず、一番ヤバいのは韓国ですね。
元米外交官のミンタロー・オバ氏はこうツイートしています。「韓国がGSOMIAを延長しないと決定したことは他のどの国よりも韓国自身を傷つける愚かな決定だ。ソウルはワシントンで非常に高い代償を払うことになる。これは米韓同盟の建設的なアプローチと一致しない」
まさに、その通りでしょう。米MIT(マサチューセッツ工科大学)のビピン・ナラング准教授(政治科学)のリアクションがありました。この方の話は、私が昔から書いていることと似ています。
東アジア2019
- 韓国は日本より北朝鮮と良好な関係を持っている
- トランプ氏は韓国の文大統領より北朝鮮の指導者、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長氏から話を聞くのを好んでいる
- 中国の習近平国家主席は笑いが止まらない
- 金正恩氏は自分のツキが信じられない。なぜなら、まだ軍縮に取り組んでいないからだ
特に、3と4、同感です。
まとめると、「GSOMIA破棄」。1番得するのは中国。文が敵アメリカ陣営を破壊してくれた。2番目に得するのは北朝鮮。北朝鮮包囲網を、文が壊した。3番目に得をするのは日本。情報戦で劣勢だったのに、文がアメリカを怒らせて【墓穴】を掘った。
以上勝ち組。負け組は?
1番の負け組は、韓国。いい感じで情報戦を進めていたのに、今回の決定でアメリカを激怒させた。2番目の負け組は、アメリカ。同盟国韓国の大統領は、アメリカより北朝鮮のいうことを聞く!中国、ロシア、北朝鮮に対峙する アメリカ、日本、韓国の結束が壊れていく…。
というわけで、文のバカな決定で日本は救われました。それでも、「結局一番得をしたのは習近平だ」という視点、忘れずにもっておきましょう。
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