活況を呈する「ご当地グルメ」
さて、大阪府池田市では、同ミュージアムの観光資源としての集客力と独自性に期待し、14年に地元の飲食店経営者、市職員などの有志が集まり「チキンラーメン」を使った地域活性に取り組む「大阪池田チキチキ探検隊」を結成した。
「大阪池田チキチキ探検隊」は、池田駅前にアンテナショップ兼観光案内所を開いて、「チキンラーメン」を衣に使ったコロッケ「池チキコロコロ」、同じくから揚げ「池カラ」などのメニューを販売している。
「池チキコロコロ」は昨年8月に、「チキンラーメン」発売60周年を記念して、池田青年会議所が企画した「こども池-1グランプリ」の優勝作品。「チキンラーメン」を細かく砕いて、衣に塗して揚げたコロッケだ。これは、市内の小中学生10チームが考案したメニューを、池田駅前公園に屋台を出して1品100円の投票券付きチケットで販売し、どれが一番おいしいか、来場者の投票と倉田薫市長(当時)らの審査を総合して決めるというイベントだった。
また、「池カラ」は池田駅前の焼鳥「野之鳥 呉華」が考案したメニュー。唐揚げの衣に細かく砕いた「チキンラーメン」を使って、サクサクした衣と口に広がる「チキンラーメン」の香ばしい味が特徴。お湯をかけてスープにしても楽しめる。
「池カラ」は池田青年会議所が12年に開催した、池田オリジナルのB級グルメのナンバーワンを、来場者がメニュー提供時に渡されたお箸の数の投票で決める、第1回「池-1グランプリ」の優勝作品だ。こちらも、池田駅前公園で開かれた。
このような「チキンラーメン」創作メニューの市内での盛り上がりを受けて、池田市役所では今年1月、「まんぷくパス」というクーポン付きの無料の冊子、グルメパスポートを作成。池田駅、石橋駅周辺の60店を掲載し、同ミュージアムにも置いている。
クーポンの効果もあってか、「喫茶店の来店数が倍増しているところもある」(池田市役所空港・観光課)とのことだ。
チェーン店でも、「ロッテリア」阪急池田駅店がチキンラーメンを具材に使った「チキンラーメンバーガー」を販売。
博多ラーメン「一風堂」池田店は、「百福元味」という一風堂店主の河原成美氏(力の源ホールディングス社長)が百福翁を想って、国産の丸鶏を使用したスープによる醤油ラーメンを開発し、販売している。麺は国産小麦を2種類使った平打ちのちぢれ麺、自家製のごぼう香油をアクセントにするなど、こだわり抜いた一杯としている。
一方、大阪市内から車で30分とアクセスの良い天然温泉で、日帰り入浴でも人気を博す、伏尾温泉「不死王閣」では、2年半前の朝食リニューアルから、ビュッフェに「チキンラーメン」や「池チキコロコロ」を出すようになり、好評である。また、目の前で握って提供するおにぎりの具材に、「池カラ」を採用している。
「ご当地ならではの朝食で、地方からわざわざ来られたお客さまに喜ばれている」(伏尾の鮎茶屋営業部取締役・谷向哲也氏)と同館では、「まんぷく」との相乗効果が出ている。宿泊した人は「カップヌードルミュージアム」が目当ての人がやはり多い。