カップヌードルミュージアムが人を引き付ける理由
実は池田市は、03年9月から04年3月に放映された「てるてる家族」でも、NHK連続テレビ小説の舞台になったが、当時の面影がほとんど残っておらず、あまり観光効果が得られなかった。
池田市は阪急東宝グループの創業者、小林一三翁ゆかりの地でもあり、旧邸が「小林一三記念館」として公開されている。
市立五月山動物園では、原産地のオーストラリア以外でほとんど成功例がない、ウォンバットという“地上のコアラ”と言われる珍しい動物の繁殖に成功し、2世が生まれて話題にもなった。
このように分散する観光資源を、「チキンラーメン」を使ったご当地グルメと絡めつつ、観光コースにできないかを、市職員や市の商店街は模索している。
まずは、「いけだおもてなし隊」という外国語ができる通訳ボランティア組織を9月2日より稼働させ、池田駅からミュージアムに直行するインバウンドの外国人を、帰りに市内の他の名所や飲食店に誘導する。
具体的な売上金額までは公開していないが、日清食品の発表によれば、「チキンラーメン」の18年度の売上は、「まんぷく」効果により、発売60周年にして過去最高となった。「カップヌードル」の売上も過去最高となった。
「安藤がチキンラーメンを発明したのは49歳の時でした。今の感覚では60歳くらいでしょう。人生に遅すぎるということはないのです」(日清食品ホールディングス広報部村上瑛子氏)。
「カップヌードルミュージアム」が人を引き付けるのは、「人間にとって一番大切なのは想像力であり、発明・発見こそが歴史を動かす」、「未来の発明王が出てきてほしい」という百福翁の思いを形にしたからなのだろう。
Photo by: カップヌードルミュージアムHP , 長浜淳之介